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GILEAD SCIENCES, INC.GILD
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事業内容
GILEAD SCIENCES, INC.は研究開発型の医薬品企業で、抗ウイルス薬(特にHIVやC型肝炎)を中心に、がん領域の治療薬や細胞療法、肝臓や免疫関連の新薬の開発と販売を行っています。代表的な抗がん薬や入院向けの製品も商業化しており、承認済み薬の販売と候補薬の臨床開発の両面で事業を展開しています。
同社の主要な顧客は病院や診療所、薬局を通じて最終患者に薬を届ける卸売業者や流通業者で、米国では主要卸売業者数社への販売が売上の大きな割合を占めます。収益は製品売上が中心で、外部へのライセンスや共同開発によるマイルストンやロイヤルティ収入も重要な収入源となっています。
事業は大きく抗ウイルス、腫瘍、細胞・遺伝子療法、入院向けやその他の医薬品ラインに分け、各領域で臨床開発と商業化を並行して進めています。製造は自社工場と外部委託を組み合わせ、買収や提携でパイプラインを拡充している一方で、競合や規制の変化、特許・流通のリスクが業績に影響する可能性があります。
経営方針
同社は成長戦略として「2030年までに10件以上の変革的治療薬を患者に届ける」ことを掲げており、短期的には収益成長の最大化、長時間作用型HIV治療の普及、がんプログラムの拡大を優先しています。資本還元と財務の健全性にも重点を置いており、四半期配当の継続を想定するとともに、取締役会が承認した50億ドルの自社株買い枠を運用しています(2022年計画、2022年12月から買戻しを開始)。また、2024年末時点での公開株式の市場価値はおよそ600億ドルと報告されており、株主還元と研究開発投資の両立を図っています。
重点投資分野はHIV、がん、肝疾患、そして細胞治療などの次世代領域で、長期にわたる差別化を図っています。差別化の手段としては、自社での創薬・臨床・製造能力の統合と、外部企業の買収・共同開発を積極的に組み合わせることを採っています。近年の大型案件では、2024年に約39億ドルで買収したCymaBay(主にseladelpar関連)、2023年のTmunity買収(約3億ドル)やArcellxとの共同開発・出資(約2.99億ドルの出資と最大15億ドルのマイルストーン)などがあり、これらが技術面と製品候補の拡充に直結しています。
新市場開拓や事業拡大は、買収やライセンス・協業によるパイプライン強化と、グローバルな商業体制の活用で進められています。例えば2024年8月にはseladelpar(Livdelzi)が米国で加速承認を得て適応拡大を実現し、Arcellxとの合弁的な取り組みでは米国内の利益を50/50で分ける商業スキームを採用しています。加えて世界35か国以上に商業拠点や研究拠点を持ち、流通面では米国での主要卸売業者経由の販売を維持しつつ、地域ごとに代理店や自社販売を組み合わせて市場浸透を図っています。
技術革新への取り組みは、次世代のキメラ受容体T細胞療法(CAR‑T)や細胞・遺伝子治療の開発と、それを支える製造基盤への投資に重点が置かれています。自社の製造拠点(米国や欧州の複数施設)や臨床用製造能力を整備すると同時に、買収による技術獲得に年間数億~数十億ドル規模で投資しており(例:MiroBio買収約4.14億ドル、CymaBayの買収関連での研究開発費計上約38億ドルなど)、さらにERPやサイバーセキュリティの強化といった情報基盤整備にも資金と組織的な注力を行っています。これにより研究開発のスピードと商業化の実行力を高めることで、他社との差別化を進めています。