GLOBALFOUNDRIES Inc.GFS

時価総額
PER
半導体ファウンドリの大手。ウエハ製造とIPライブラリを基盤に単一供給製品と長期供給契約(残存契約総額140億ドル)を展開。ムバダラが主要株主(保有比率約81.5%)、2021年11月のNASDAQ上場、2024年5月の自社株買い(390万株、2億ドル)。北米・欧州・アジアの3大陸で展開。

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企業概況
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事業内容

GLOBALFOUNDRIES Inc.は、他社が設計した集積回路(IC)を大量生産する受託半導体メーカー(ファウンドリ)です。主力事業は完成した半導体ウェハーの量産で、独自の製造プロセスや回路ブロックのライブラリを使って性能や消費電力の要件に合わせた生産を行っています。世界各地に生産拠点を持ち、地政学的なリスクを回避できる供給選択肢を顧客に提供しています。

同社は250社超の顧客基盤を持ち、AMD、Qualcomm、Samsungなどの大手IC設計メーカーが主要顧客です。収益の大部分はウェハー製造が占め、2024年は約90%をウェハー製造が占めた一方、残りはフォトマスクや試作・前工程サービス、設計支援の一時収入などから成ります。長期供給契約(LTA)や同社でしか製造できない単独採用案件(シングルソース)により収益の見通しを高めていますが、市場の季節変動や在庫調整で需要が変動するリスクも抱えています。

製品ラインは、スマートフォンなどのモバイル、通信・データセンター、IoT、車載向けなど複数のエンド市場を対象に展開しており、デジタル、アナログ、無線、超低消費電力、電源などの機能別ソリューションを揃えています。さらにシリコンフォトニクスや高周波・電力向けの差別化技術を持ち、設計支援や試作、パッケージングに関連するサービスも手掛けることで、ウェハー製造を中核に幅広いソリューションを提供しています。

経営方針

同社は安定した収益成長とキャッシュ重視の資本配分を目指しています。2024年の売上高は約67.5億ドルで、その約90%がウェハー製造による収益でした。長期契約(LTA)による残余の収益コミットメントは約140億ドル、前受金や容量予約金は約30億ドルに上り、これらが収益の可視性を高めています。同社は配当を行わず内部留保を成長投資に振り向ける方針で、2024年には大手株主からの自社株買い(約2億ドル)や、タームローンの繰上返済(約6.64億ドル)などでバランスシートの最適化にも取り組みました。

同社は差別化を重視して重点投資を行っています。競争優位の源泉として、無線・通信、超低消費電力、電力制御、光インターコネクトなど用途別の技術プラットフォームに投資し、数千のIPタイトルを整備して顧客の設計を受け入れやすくしています。設計の「シングルソース化」(同社でしか量産できない製品)に注力しており、2024年のウェハー出荷量の約64%がシングルソース案件でした。創業以来の設備投資累計は230億ドル超で、米欧亜の3大陣地にわたる製造拠点を構築し、地政学リスク分散を差別化要因としています。

新市場や事業拡大については、顧客層の拡大と設計ファネルの強化で成長機会を獲得する計画です。2024年末時点で250社超の顧客基盤があり、エンドマーケット別ではスマート端末が約30.48億ドル(45%)、自動車関連が約12.06億ドル(18%)と重要な比率を占めています。同社は設計受注→量産移行の比率を高めるために顧客との共同開発や長期供給契約を重視し、設備拡張のための資本支出契約(約6.35億ドル、うち直近12か月で約4.34億ドル支払予定)など具体的な投資を手当てしています。

技術革新への取り組みでは、短い時間で差別化技術を量産に乗せることを目指しています。同社はトランジスタ・デバイス設計、プロセス技術、パッケージを含むエンドツーエンドの技術力を磨き、顧客の仕様に合わせた最適化を行うことで設計勝ち(デザインウィン)を狙います。研究開発と製造ラインの協調、顧客向けの設計サポート体制強化、IPライブラリ整備といった施策を通じて、収益性の高い差別化製品の市場投入を早めることを同社は重視しています。