Gen Digital Inc.GEN

時価総額
$164.6億
PER
消費者向けサイバーセキュリティ事業の最大手。NortonやAvastによるセキュリティ、ID保護、オンラインプライバシー製品を展開。2019年のBroadcomへの企業向け資産売却、2022年9月のAvast買収、2025年4月のMoneyLionを約10億ドルで買収。米国・欧州を中心に世界展開。

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企業概況
111文字)
業績概況
テーマ
2項目)
ブランド
1項目)
ライバル企業
5社)
同業種の日本企業
1社)

事業内容

Gen Digital Inc.はデジタル生活を守るサイバーセキュリティと関連サービスを世界的に手がける企業です。 同社は家庭向けのセキュリティソフトやプライバシー保護、身元保護サービスを中心に、使いやすいプラットフォームで総合的な防護を提供しているほか、近年はデジタル身分管理や復旧支援といった信頼系サービスも拡充しています。

同社の主要な顧客は個人ユーザーで、サブスクリプション型の有料会員が収益の中核を占めます。 収益は直販の電子商取引やパートナー経由の販売、フリーミアムからの有料化という複数チャネルで獲得し、支払いは前払いの年額契約が多く安定した収入源になっています。

事業は大きく「セキュリティとパフォーマンス」「身元保護」「オンラインプライバシー」の三領域に分かれ、Norton 360やAvast Oneといった複数階層の会員プランで展開しています。 同社はソフトとサービスを統合したプラットフォームでアップセルや顧客維持を図り、買収で獲得した金融サービスなどの新分野も取り込みながら成長を目指しています。

経営方針

同社はイノベーションと戦略的買収を軸に事業を拡大することを成長戦略の中核に据えています。具体的には既存顧客の価値向上と新規顧客獲得を両輪で進め、直販・パートナー経由・フリーミアムといった複数のチャネルを活用して顧客基盤を拡大することを目指しています。直近の実績としては、2025年度にネットの直販顧客を130万人増やし、月次ARPUを0.04ドル上げ、直販の継続率を1ポイント改善しました。財務面では株主還元や債務返済も積極的に行っており、2025年度は合計9.55億ドルを株主・債権者に還元(自社株買い1100万株で2.72億ドル、配当3.13億ドル、純債務削減3.70億ドル)するとともに、現金等残高は約10.06億ドル、未引出のリボ枠は約14.94億ドルを確保しています。

同社は投資の重点を「セキュリティと性能」「本人性(アイデンティティ)保護」「オンラインのプライバシー」の三分野と、それらに関連する付加価値サービスに置いて差別化を図っています。Norton 360やAvast Oneといったブランドで多段階の有料プランを提供し、単体製品からメンバーシップへの誘導やクロスセルを進めることで既存顧客の単価向上を目指しています。顧客維持のためには、行動を促すアラートや教育コンテンツ、購入から導入後までのデスクトップ・モバイル体験の改善を継続投資の柱にしており、社内調査ではNortonのブランド認知が約93%と高い点を成長の強みとしています。

新市場開拓と事業拡大では、買収を通じた領域拡大が明確な戦略です。過去のAvira、Avastに続き、2025年4月にMoneyLionを買収してフィンテック領域(金融ウェルネス)に本格参入し、買収対価として約10億ドルの現金支払いと、条件付で約7,300万ドル相当の株式連動支払い権(CVR)を組み合わせました。この買収は、デジタル身分や評判管理といった既存の信頼ベースサービスと金融サービスを統合することで、新たな顧客層と収益源を獲得する狙いがあり、一部資金は750百万ドルの増額タームB枠で賄っています。地域拡大はデジタルマーケティングとパートナー提携を活用し、各国市場でのブランド強化とチャネル最適化を進めます。

技術革新への取り組みでは、内部の研究開発投資と外部技術の統合を並行して進め、製品性能や検知力の向上、ユーザー体験の改善を目指しています。同社は人工知能・機械学習(特に生成系AI)をサービス改善に取り入れる一方で、誤出力や偏りといった課題に留意し、実運用前の検証や品質管理に注力しています。情報セキュリティ面では業界の基準(ISO 27001や米国のサイバー枠組み)に沿った管理体制を採り、最高情報セキュリティ責任者(CISO)主導で第三者評価やインシデント対応訓練、セキュアコーディングの教育を継続的に実施しており、技術面と運用面の両輪で信頼性を高めることを目指しています。