Grayscale Bitcoin Trust ETFGBTC

時価総額
$160億
PER
ビットコインを基軸とする上場投資信託の大手、2013年9月設立。スポット型ビットコインETFやカストディ・保管ソリューションを展開。間接親会社が2021年に最大10億ドルの株式買付承認。米国中心に展開。

事業内容

Grayscale Bitcoin Trust ETFは、投資家にビットコインの値動きに連動する投資機会を株式のかたちで提供する上場投資信託です。同社は実際のビットコインを信託で保有し、その受益権(GBTC)を証券取引所で売買できるようにしています。

主要な顧客は個人投資家や年金基金などの機関投資家、証券会社などの仲介業者で、彼らは市場で同社の株式を売買することでビットコインに間接的に投資します。同社の収益は主に信託資産に対して設定した運用・管理手数料や関連するサービス手数料から得ています。

事業の中核はビットコインを直接保有する信託運用、株式の発行・管理、および流動性を支える参加業者との取引調整です。同社は外部のカストディアンと協働して秘密鍵の管理や保管(コールドストレージ等)を行い、定期的な価値算定や監査対応を通じて投資家向け情報の整備にも努めています。

経営方針

同社は資産規模の拡大を成長の中核に据えています。具体的には、上場以降の機会を通じて機関投資家や個人投資家からの資金流入を増やすことを目指しており、2024年6月30日時点の時価総額は約165億ドル、発行済株式数は2025年2月24日時点で250,920,100株といった実績を背景に成長を追求しています。運用効率の面では経費比率の抑制に取り組んでおり、2024年の純投資損失は年間で約1.52%の水準でした。これらを踏まえ、同社は取引所上場(NYSE Arca:ティッカーGBTC)と既存の創設・償還メカニズムを活用して、基準価額の拡大と流動性向上を図ることを目指しています。

同社は投資対象をビットコインの現物に絞る戦略をとっており、差別化の要因として安全な保管と運用の透明性を強調しています。カストディ業務はコインベース等の大手に委託し、毎年SOC1/SOC2の外部報告を取得するなど監査体制を整えています。また、創設は1バスケット=10,000株単位で行われ、複数の認定参加者(Jane Street、Virtu、Goldman Sachs等)と連携して裁定機会を促すことで市場価格と純資産価値の乖離を抑えることを狙っています。スポンサー手数料は2024年に約2.9億ドル(表記は千ドル単位)に上る一方で、マーケティングや参加者の拡充を通じて資金流入を支える施策を講じています。

同社は新市場開拓と事業拡大にも注力しています。規制面での明確化が進めば、現物での「イン・カインド(現物受渡し)創設・償還」への移行を目指すなど、制度対応を前提に上場ルールの変更申請や取引所との協議を進める方針です。2024年7月には別の関連商品への初期分配として26,935.84ビットコイン(約17.6億ドル相当)が移転されるなど、商品ライン拡張の実例もあります。加えて、DCG(間接親会社)による段階的な株式買付承認(最大で過去に約10億ドルの買付承認が記録された経緯)など、資本面のサポートも事業拡大の一助となっています。

同社は技術革新を運用・保全の中核課題と位置づけています。鍵管理はコールドストレージを含む多層防御で実施し、秘密鍵のライフサイクル管理や定期的な移転テストにより所有権の検証を行っています。情報セキュリティ面では専任の最高情報セキュリティ責任者(CISO)が体制を統括し、外部の侵入テストや脆弱性診断を年次で実施、従業員向けのセキュリティ教育は入社時と年次で義務付けられています。こうした技術的・運用的な取り組みを通じて、同社は投資家に対して安全で信頼性の高いビットコイン現物投資の提供を目指しています。