Liberty Media CorpFWONK

時価総額
PER
メディア・エンタメ持株会社の最大手。世界的モータースポーツの商業権保有とライブ興行の持分を展開。2024年にモータースポーツ権益を約30億ユーロで買収合意、1月にイベント運営会社を約2.77億ドルで買収。世界展開。

事業内容

Liberty Media Corporationは、メディアやライブエンターテインメント分野の企業への出資と運営を通じて価値を創出する持株・運営会社です。同社は最も重要な事業としてFormula 1の商業権を保有し、さらにLive Nationへの出資やQuintEventsなどのイベント運営事業を抱えています。

主要な顧客は放送局やスポンサー、イベント来場者、チームやアーティストなどで、収益は放映権料・スポンサー収入・チケット販売やイベント運営手数料、そして投資先からの持分法による利益などで構成されています。同社の収益は個人の裁量支出やスポンサー需要に左右されやすく、景気や消費者の余暇支出の変動に敏感です。

事業は大きくFormula One Group、Liberty Live Group、Corporate and Otherのグループに分かれており、Formula One Groupは世界選手権の商業化と放映・スポンサー契約の管理を行い、Liberty Live Groupはコンサートやチケッティングを中心としたライブイベント関連の収益を追求しています。加えて同社はトラッキング株の仕組みで各グループの業績を市場に反映させ、Dornaの買収検討やQuintEvents買収のような戦略的投資で事業拡大を図っています。

経営方針

同社はプレミアムなスポーツ・ライブエンターテインメント資産のスケール拡大と収益基盤の多様化を成長戦略の中核に据えています。市場価値は2024年6月30日時点で約258億ドルであり、資本政策としては合計で約20億ドルの自社株買い枠を取ってきており(2019年・2022年決議)、2024年末時点で約11億ドルが残っています。加えて2024年8月にシリーズC株12.2百万株を1株77.50ドルで発行し約9.49億ドルの資金を調達するなど、株式発行と買戻しを併用して成長投資と株主還元のバランスを取っています。同社はこれらの手段を用いて、規模と収益性の向上を目指しています。

重点投資分野は独占的な商業権を持つフォーミュラ1(完全子会社)や、世界最大級のライブ事業であるLive Nationへの出資(持分法適用)、イベント運営・ホスピタリティ分野のQuintEventsなど、観客動員とスポンサー収入が高い分野です。差別化の柱は「独占コンテンツ」と「会場・チケット・スポンサーを横断する運営能力」にあり、例えばフォーミュラ1は世界選手権の商業権を独占的に管理しており、QuintEvents買収(約2.77億ドルで2024年1月取得)により高付加価値な観戦サービスの提供力を強化しています。グループ間の資源配分は取引追跡株(tracking stock)構造と取締役会の管理方針に従って行われ、特定事業への重点投資が可能な点も差別化の一つです。

新市場開拓と事業拡大では、2024年に約86%の議決権取得を目指すDorna(モータースポーツ権利保有会社)買収を約30億ユーロで合意するなど、モータースポーツ領域の横断的拡大を進めています(買収代金は現金で、為替ヘッジを実行)。この取引は欧州委員会の審査(フェーズII)により手続きが延長され、長期手続き対応として売主に1.26億ユーロを支払うなど規制対応も実行中です。加えてQuintEventsの統合や既存のフォーミュラ1・Live Nationの収益化強化を通じて、放映権料、スポンサーシップ、プレミアム観戦サービスといった高マージン分野での拡大を目指しています。同社は買収後の統合や相乗効果の実現、現地規制対応を具体的課題として認識しつつ成長を追求しています。

技術革新への取り組みとして、同社はサイバーセキュリティとデジタル化を重要投資領域に位置づけています。コーポレートと事業会社(フォーミュラ1、QuintEvents)レベルでインシデント対応の枠組みを整備し、情報セキュリティ指導委員会を置き、暗号化、脆弱性管理、外部ベンダーのリスク管理、年次の従業員教育や模擬フィッシング、侵入テストなど具体施策を実施しています。またチケット販売や観客データのデジタル化によってダイレクト販売比率を高め、転売対策やファンエンゲージメント強化を図ることで収益化を進める計画です。これらの取り組みにより、安全性を確保しつつデジタル収益を拡大することを同社は目指しています。