Fortive CorpFTV

時価総額
$186.7億
PER
産業向け計測機器と医療機器を中心とする多角化テクノロジー事業の大手、従業員約1万8千人。高精度テスト機器、医療デバイス、産業向けソフトを展開。2024年1月に高出力テスト機器メーカーを約17.2億ドルで買収、同年6月に一部事業を売却。米国・欧州・アジアで展開。

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企業概況
106文字)
業績概況
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ブランド
3項目)
ライバル企業
3社)
同業種の日本企業
2社)

事業内容

Fortive Corpは産業用の技術・機器とそれを支えるソフトやサービスを手掛ける持株的な企業で、計測機器や試験装置、センシング機器、現場向けの運用ソリューション、医療向けの機器や滅菌消耗品などを主力として展開しています。同社はハードウェアの販売だけでなく、ソフトウェアや保守、消耗品といった継続的な収入源も重視しています。

主要な顧客は製造業者や機器メーカー(OEM)、医療機関、エネルギーや航空宇宙、流通業など幅広く、顧客ごとに求められる性能やサポート内容が異なります。同社の収益は製品販売に加え、アフターサービス、消耗品の定期販売、サブスクリプション型のソフトや運用支援からの継続収入で構成されており、事業によっては四半期ごとの需要変動が見られますが、全体として大きな季節性はないとしています。

事業は大きくインテリジェント・オペレーティング・ソリューション、プレシジョン・テクノロジーズ、アドバンスド・ヘルスケア・ソリューションのセグメントに分かれ、各セグメントで機器、ソフト、サービスの組み合わせを提供しています。たとえばプレシジョン系は試験・計測や電力関連のソリューションを強化し、医療系は滅菌や臨床現場向けの消耗品・機器で規制対応と品質管理を重視した提供を行っています。

経営方針

同社は持続的な成長と株主還元の両立を目指しています。2024年の売上高は約62.3億ドル、営業利益率は19.4%(前年から70ベーシスポイントの改善)となっており、2025年のガイダンスは通期で売上成長が概ね横ばい〜2.0%、既存事業の成長が約1.5〜3.5%を想定しています。経営戦略は、全社に戦略を浸透させる仕組みと業績連動の報酬・能力開発を通じて実行力を高めることにあり、現場の改善活動と価格設定・生産性向上の両面で利益率を押し上げることを目指しています。

重点投資分野は三つの事業セグメントごとに明確です。精密技術(PT)ではエネルギー貯蔵や電動化、再生可能エネルギー向けの試験・計測装置を拡充しており、2024年に約17.2億ドル(取得現金差引後)のEA社買収を実行してポートフォリオを強化しました。高度医療(AHS)分野では医療機器の開発・製造・規制対応に投資し、計測・ソフトウェアを手掛けるインテリジェント・オペレーティング・ソリューション(IOS)では顧客の業務フローに組み込む機器とサービスを強化することで他社と差別化しています。これらを通じてブランド力と製品群の幅を武器に価格、性能、アフターサービスで優位性を築こうとしています。

新市場開拓と事業拡大は、地理的な多様化と選択的な買収・再編で進めています。2024年は北米や西欧での成長に加え、ラテン米州での二桁近い伸びが見られる一方、中国では調整局面がありました。同社は高成長市場への展開と同時に、成長に資する買収を継続的に検討・実行しており(EA買収や一部事業の売却・再編など)、株主還元策として2024年に1200万株を平均約73.93ドルで買戻すなど資本配分にも積極的です。為替変動や分社化(スピンオフ)など外部要因も見据えつつ、地域・事業ポートフォリオの最適化を図っています。

技術革新への取り組みは製品開発だけでなく人材育成とプロセス改善にも及んでいます。独自の改善手法(FBS)を通じて現場の効率化と新製品の迅速な市場化を目指し、リーダー育成や現場スキル向上のプログラムに投資しています。具体的には高出力電源・試験機器などエネルギートランジション分野への製品開発や、医療分野での規制適合を前提とした技術開発、そしてソフトウェアを組み合わせた「つながる業務ソリューション」への注力で差別化を図っています。従業員エンゲージメントの調査でも高い参加率と良好な評価を得ており、技術と人材の両輪で競争力を高めようとしています。