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FRANKLIN STREET PROPERTIES CORPFSP
事業内容
Franklin Street Properties Corp.は米国の商業用オフィスに特化した不動産投資信託(REIT)で、オフィスビルの取得・賃貸・管理・開発や不動産を担保とした融資などを通じて収益を上げています。同社は賃料収入と物件価値の長期的な上昇、さらに配当による現在収入の両立を目指す投資戦略を採っています。
主要な顧客はオフィスを借りる企業で、収益は主に賃料収入、物件の売却益・損失、そして資産管理や物件管理、開発に対する手数料で構成されています。同社のポートフォリオはダラス、デンバー、ヒューストン、ミネアポリスに集中しており、一部にエネルギー関連テナントの比率が高い点が収益の特徴です。
事業は単一の報告セグメントである「不動産事業」に統合されており、主に市街地や中心業務地区のインフィル型オフィス物件へ投資しています。同社は直営の物件群に加えてスポンサー型のREITも運用し、子会社を通じて資産管理、物件管理、会計、投資家向けサービスを提供しつつ、市場環境に応じて物件売却や選択的な貸付を行ってポートフォリオを最適化しています。
経営方針
同社は長期的な成長と資産価値の向上、並びに現在の収益確保を両立することを目指しています。具体策としては、立地や市場環境に応じた物件の選別売却を行い、2024年には売却総収入が約1億ドルに達しました。売却益や売却代金は主に借入金の返済に充てており、2024年2月21日には延長に伴い約1.02億ドルを返済しています。配当政策は2022年7月に変動四半期配当へ移行しており、資金配分は課税要件や債務償還見通しを踏まえて柔軟に決定しています。
重点投資分野では、同社は米国サンベルト地域とマウンテンウエスト地域の中心市街地やインフィル(既存の都市部)オフィスに注力しています。2024年末時点で保有・連結ポートフォリオは約480万平方フィートに達し、そのうち約95.7%がダラス、デンバー、ヒューストン、ミネアポリスに集中しています。差別化の手段としては、優良立地での物件取得に加え、賃貸稼働率向上のための積極的なリーシングや維持・改修投資、そして資産管理を自社子会社(資産・物件管理)で一貫して行うことで収益化を図っています。
新市場開拓や事業拡大の計画は慎重かつ選別的です。同社は高成長が見込める地域での追加取得や、不動産担保ローンなどの投資機会をケースバイケースで追求する方針をとっています。また、スポンサー型REIT(Sponsored REIT)との関係を通じて資産運用や管理業務で手数料(集金家賃の1%〜5%程度)を得るビジネスも継続しており、これが安定した手数料収入の源泉となっています。一方で主要な借入(BofA/BMOのタームローンやSeries A/Bノート等)の満期が2026年4月1日に集中しているため、借換えや資産売却による返済計画は引き続き重要な経営課題です(Series A残高約7,170万ドル、Series B残高約5,190万ドル、2024年末の利率はいずれも8.00%、格付けはB3)。
技術革新への取り組みでは、特にサイバーセキュリティとデータを活用した資産管理に注力しています。同社は24時間体制の監視センター(SOC)や継続的な脆弱性評価、第三者による年次の侵入テスト、インシデント対応計画を導入し、全従業員に対するランサムウェアやフィッシング等を想定した定期的な教育を実施しています。また、物件評価や減損判断では市場データとの照合や感度分析を行うなど、データに基づく意思決定を強化しており、環境・社会・ガバナンス(ESG)面でもGRESBやENERGY STAR、LEEDといった外部評価での認定を受けるなど、技術と運用の両面で競争力の維持を図っています。