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- FLEXIBLE SOLUTIONS INTERNATIONAL INC
FLEXIBLE SOLUTIONS INTERNATIONAL INCFSI
事業内容
FLEXIBLE SOLUTIONS INTERNATIONAL INCは化学製品の開発・製造を行う企業で、主力としてプールやスパ向けの液体表面被覆(EWCP)や生分解性ポリマー(いわゆるTPA)、農業向けの窒素保存製品などを製造しています。同社の製品は水の蒸発抑制やエネルギー・水の節約、配管の腐食・スケール防止といった機能を重視して設計されています。
同社は北米を中心に世界各地へ販売しており、2024年の出荷では約24%が海外向け売上でした。売上は主要顧客への依存度が高く、上位数社の喪失が収益に大きく影響するほか、取引先の支払サイト(通常30〜90日)や製品の季節性がキャッシュフローと業績に影響を及ぼします。
事業は大きく「エネルギー・節水製品(EWCP)」と「生分解性ポリマー(TPA)」の二つのセグメントに分かれ、TPA部門が窒素保存剤や食品グレード製品の製造・販売も担っています。同社はイリノイ州などに製造拠点を持ち、新製品の開発や市場導入を進める一方で、商業的な需要確保が収益拡大の鍵となっています。
経営方針
同社は収益性の高い成長と安定したキャッシュ創出の両立を目指しています。2024年の連結売上高は約3,823万ドル、粗利益は約1,323万9千ドル、営業利益は約551万5千ドルと前年から改善しており、営業活動によるキャッシュは約556万8千ドルを確保しています。設備投資も積極的に行っており、同年の固定資産取得額は約496万5千ドルに達しました。これらの資金力を背景に、同社は株主還元として2024年に特別配当0.10ドル/株(総額約125万5千ドル)を支払うなど、成長投資と株主価値の両面を重視しています。
重点投資分野は製造基盤の強化と製品ポートフォリオの拡充です。ミシシッピ州ペルーの61,200平方フィート、56,780平方フィート、さらにTPA製造拠点のメンドータの14,000平方フィートなど自社施設を保有し、2023〜24年にかけて317 Mendotaの80%取得やENP Investments(TPA関連)への投資で生産能力を拡大しました。差別化の源泉は独自の化学製剤群で、プールや貯水槽で蒸発を抑えるEWCP、油田・鉱業・農業向けの生分解性ポリマー(TPA)、窒素保持剤といった用途特化型製品であり、食品規格品や農業用途など用途を広げることで価格以外の競争力を維持しようとしています。
新市場開拓では農業や貯水インフラ、国際市場への展開を重視しています。2024年の売上の約24%が国際売上であり、今後も海外比率の維持・拡大を目指しています。事業ポートフォリオの見直しとしては、フロリダの合弁会社持分の30.1%を2,000,000ドルで売却し、残り19.9%については今後5年で追加で4,000,000ドルで売却する契約を締結しており、これにより得た資金を中核事業や設備投資へ再配分する計画です。一方で主要顧客上位3社で2024年売上の約54%を占める集中リスクを意識し、販売先の分散やWATERSAVR等新製品の商用化(2025年のマーケティング予算は約50,000ドル)で顧客基盤の拡大を図っています。
技術革新への取り組みとしては研究開発費の増加と専門家登用を通じた新製品開発を進めています。財務報告でも研究費やコンサル費の増加が指摘されており、EWCPの粉末化やTPAの新用途開発、WATERSAVRの飲料水用途での認証取得(米国NSF承認)など、技術面での承認・品質確保に注力しています。人材確保の施策として株式報酬制度も拡大しており、2024年に1,081,000件のストックオプションを発行、ストックインセンティブ計画で合計約1,607,000件のオプションが未行使である点から、技術・営業両面での人材維持とインセンティブ整備によって技術開発と市場導入の速度を高める方針です。