FEDERAL REALTY INVESTMENT TRUSTFRT

時価総額
$83億
PER
コミュニティ・ネイバーフッド型商業施設の大手。再開発・賃貸管理とLEED認証によるサステナブル開発を展開。24年5月に664,000平方フィートのVirginia Gatewayを2.15億ドルで取得。米国で102物件・約2680万平方フィートで展開。

事業内容

Federal Realty Investment Trustは、米国の不動産投資信託として主に地域型・コミュニティ型の商業施設や複合開発の取得・再開発・運営を行っています。同社は高品質な小売中心の物件に重点を置き、店舗に加えてオフィスや住宅を組み合わせた街区づくりで集客力のある資産を育てています。

主な顧客は小売業者や飲食店、サービス業のテナントで、賃料や共益費などの賃貸収入が収益の中心です。同社は物件の再開発や売却で価値を引き出し、安定した配当政策を通じて投資家に還元しています。

事業面では物件の取得・再開発・リーシング・資金調達を一体で進め、成長余地のある立地での拡大を図っています。同社は環境配慮にも取り組み、現地での省エネ対策や太陽光発電、電気自動車用充電施設の導入などを進めるとともに、株式の随時売却プログラムや借入などで資金調達の柔軟性を維持しています。

経営方針

同社は長期的に収益、FFO(運用キャッシュベースの指標)、キャッシュフローの成長を目指しています。具体的には既存物件の賃料改定や稼働率改善での「比較可能ポートフォリオ」の成長、物件の取得、再開発・拡張を組み合わせることで伸ばす計画です。ポートフォリオは102件・約2,680万平方フィートを保有しており、2024年は既存物件で約240万平方フィートの賃貸を成約、賃貸率は96.2%、入居率は94.1%で2.1ポイントの乖離が確認されています。2024年の開発・改修関連の資本化支出は計約1億3,600万ドル(外部費用)で、資金調達手段としてはATM(上場随時売出)を通じて年内に約2,060,000株を発行し純額で約2.22億ドルを調達しています。

同社は重点的に近隣・コミュニティ型の商業施設や複合用途物件に投資することで差別化を図っています。戦略上は都市近接の“インフィル”立地や良好な人口動態を重視し、再開発による付加価値創出で高い稼働を維持・賃料引上げを狙っています。環境面や顧客体験も差別化要素と位置づけており、LEED認証建物を多数保有(25棟の認証実績)、敷地内ソーラーは28物件で合計約15MW、電気自動車充電器は400基超を設置するなど省エネ・脱炭素化投資を進めています。必要に応じて成長性の乏しい資産は売却し、その資金を再開発や取得に再配分する方針です。

同社は新規市場の開拓や事業拡大を買収と再開発の組合せで進めています。2024年はバージニア州のVirginia Gateway(664,000平方フィート)を2.15億ドルで取得、カリフォルニア州Pinole Vista Crossing(216,000平方フィート)を6,000万ドルで取得するなど積極的に物件を組み入れました。一方で非中核資産の売却も実行しており、第三通りプロムナード等の売却で1.068億ドルの売上、5,380万ドルの売却益を計上しています。財務面では投資適格のバランスシート維持を掲げ、総合的なレバレッジ管理、変動金利エクスポージャーの管理、1.25億ドル(注:契約枠は12.5億ドル)のリボルビング施設の確保などで資金繰りの柔軟性を確保しつつ、2024年は発行型の資金調達(交換社債やATM等)を活用しています。金利感応度の例として市場金利が1%上昇すると年間利息費用が概算で約600万ドル増加する旨を開示しています。

同社は技術革新、特に情報セキュリティの強化を重要施策と位置づけています。業務の多くはITシステムに依存しているため、社内CIO(経験30年以上)が主導し、外部の専門会社をCISO代行として起用してリスク評価と対策を行っています。導入している具体策はパスワード暗号化、二要素認証、定期的なパスワード更新、ファイアウォールやウイルス対策、定期的なバックアップと冗長化、そして定期的な侵入テストと従業員向け教育です。これらの活動は監査委員会へ四半期ごとに報告され、テナント情報や従業員データの保護と賃料回収や会計情報の正確性維持を目指していますが、同社自身も完全な防御は保証されない点を明示しています。