Frontline plcFRO

時価総額
PER
原油・石油製品の海上輸送の大手。ECO仕様のVLCC・Suezmax等の省エネ大型タンカーを展開、2024年12月31日時点で平均船齢6.6年。23年10月のCMB.TECHからのVLCC24隻買収。世界主要航路で展開。

事業内容

Frontline plcは原油や精製石油製品の海上輸送を主力とする海運会社で、主に大型タンカーを自社保有・チャーターで運航しています。同社は長距離の原油輸送を担う超大型タンカーや中型タンカー、精製品向けのタンク船などを中心に稼働させています。

同社の主要顧客は大手石油会社や大口のトレーディング会社で、収益は船舶の運航による運賃が中心です。契約形態は定期的に収入を確保するタイムチャーターと市場の需給に応じて稼ぐスポット取引を組み合わせ、船舶の売買やリース取引も収入源になっています。

同社はVLCCやSuezmax、Aframax、LR2といったサイズの船隊を持ち、近年は燃費性能を高めたECO船を多く導入している点を特徴としています。技術管理や乗組員の手配は外部の専門会社に委託することでコストと安全性を管理し、航路の組み替えなどで空荷(バラスト)時間を減らす運航戦略を採っています。

経営方針

同社は中長期的に規模と収益性の拡大を目指しています。具体的には2023年末にCMB.TECHから平均年齢5.3年のVLCC(超大型原油運搬船)24隻を合計23.5億米ドルで取得する枠組み合意を結び、うち11隻を11.122億米ドルで受領しているなど、大型買収による船隊拡充で成長を図っています。株主総会で新株や転換社債を最大377,377,111株・証券分まで割当てられる承認を得るなど、必要に応じた資本調達の柔軟性も確保しており、取得資金を自己株の売却(CMB.TECH株の売却で2.518億米ドルを調達)や借入とうまく組み合わせる方針です。

同社は競争優位を「最新で燃費の良い船隊」と「効率的な運航」で築くことを目指しています。全船のうち2024年末時点でほとんどがECO仕様の船(燃費改良型)で、45隻がスクラバー(排ガス処理装置)装備、平均船齢は約6.6年と業界でも若い構成です。運航面では一部を定期(タイムチャーター)で固定収入にし、残余をスポット市場で運用して市況上昇を取り込むハイブリッド戦略を採り、かつ中間航海の空走(バラスト)時間を減らす「クロストレード」で稼働率向上を図っています。技術や修繕、乗組員手配は外部の船舶管理会社に委託してコストと品質をベンチマークし続けています。

新市場開拓と事業拡大では、特にVLCC中心のトレード拡大で世界的な原油輸送需要を取り込む計画です。今回の24隻取得により超大型航路の対応力が高まり、中長距離や地域間の往復を組み合わせた販路拡大が可能になります。同社は大規模な船隊を交渉力の源泉と考え、主要顧客である大手石油会社やトレーダーとの長期関係維持と同時に、スポットでの高収益機会も積極的に追求することで収益の両立を図る方針です。

技術革新への取り組みとしては、燃費改善や排出削減のための船体・推進系改良やレトロフィットを進め、EEXI(省エネ性能基準)に適合させるなど規制対応を先行させています。実際に同社の2024年検証済み排出データは国際海事機関や金融側の脱炭素指標を上回るトラジェクトリーを示しており、環境面でのリーダーシップを目標としています。併せてサイバーセキュリティや情報管理にも投資し、専任の最高情報セキュリティ責任者(CISO)や外部専門家による脆弱性診断、継続的なモニタリングを実施して事業継続性と顧客信頼の維持に努めています。