FORMFACTOR INCFORM

時価総額
$43.1億
PER
半導体向け検査・測定装置の大手。高周波対応の先端プローブカードやクライオ冷凍システムを展開。2022年6月に希釈冷凍機事業を340万ドルで買収、2024年2月に中国事業を売却。米国・欧州・日本・台湾・韓国・シンガポール中心に展開。

事業内容

FormFactor Incは半導体デバイスの電気的テストと計測向けハードウェアを設計・製造する企業で、主力製品はウェーハ上の回路に接触して信号を読み取るプローブカードです。プローブカードに加えて、試験用のプローブステーションや解析用プローブ、温度制御や極低温(クライオジェニック)装置などの計測システムも提供しています。研究開発と知的財産を重視して新製品を開発し、顧客の次世代要求に応えることに注力しています。

同社の主要顧客はファウンドリ、ロジックおよびメモリメーカーといった半導体メーカーで、プローブカードの販売が収益の大半を占めます。売上は比較的少数の大口顧客に依存する傾向があり、一部の顧客が総売上に大きく寄与しています。世界各地の直販拠点と代理店網を通じて販売・サポートを行い、修理やフィールドサービスも提供して顧客の生産立ち上げを支援しています。

同社は事業を大きく「プローブカード」と「システム」の二領域に分け、プローブカードが主力セグメントです。システム側はプローブステーション、解析プローブ、温調・極低温装置などで構成し、高周波性能や密集パッドの並列テスト対応などで差別化を図っています。グローバルな製造・サービス拠点を持ち、顧客の製造プロセスや高頻度の技術サポートに対応している点が特徴です。

経営方針

同社は半導体テスト向けのプローブカードを中核に、売上拡大と収益性の向上を目指しています。2024会計年度の売上高は約7.636億ドルで、プローブカードが依然として売上の大半を占め(Foundry & Logic向けが約3.81億ドル、DRAM向けが約2.27億ドル)、システム事業も約1.38億ドルと成長の柱になっています。地域別では韓国、米国、台湾が各20%前後を占めており(韓国24.2%、米国24.1%、台湾22.7%)、同社は主要顧客や地域での市場シェア向上を通じてトップライン成長を図ることを目指しています。

重点投資分野は、密集配線や高周波に対応する高性能プローブカードと、それを支える設計・製造能力です。プローブカードは検査時にチップと直接接触するインターフェースであり、同社は信号品質や並列接触数、寿命・供給体制で差別化を図っています。また特定の用途(5G向けの高周波、積層メモリのHBMテストなど)での技術優位を確保するため、特許やノウハウの蓄積、顧客密着のサポート体制に投資しています。これらにより他社に対する技術的優位性と顧客ロイヤルティを高めることを目指しています。

事業拡大は、選択と集中を伴うM&Aや資産売却で進められています。例えば2022年には量子コンピューティング向けの希釈冷凍機事業を約340万ドルで取得して製品ポートフォリオを拡充し、2024年には中国事業の譲渡などポートフォリオ最適化を実施しました。資本政策では自社株買いにも取り組んでおり、2023年10月に承認された最大7,500万ドルの買戻し枠の下で積極的に株主価値の調整を行っている点も、投資家にとって注目すべき方針です(2024年末時点で約2,056万ドルが残存)。

技術革新に関しては、継続的な研究開発投資と顧客協業を通じて次世代テスト課題に応えることを目指しています。同社は大規模な特許ポートフォリオを保有すると明記しており、MEMS技術を含むプローブ設計、高周波対応、HBMテスト、高精度の測定装置や低温(冷却)システムなどに注力しています。加えてサプライチェーンや品質管理、サイバーセキュリティやESG開示といった運用面への投資にも取り組み、技術と運営の両面で競争優位を維持することを目指しています。