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Fidelity National Financial, Inc.FNF
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事業内容
Fidelity National Financial, Inc.は、米国で不動産取引に伴うタイトル(所有権)保険とエスクロー(決済代行)を中核に事業を展開する企業で、加えてリタイアメント向けの商品や生命保険の販売も行っています。同社は不動産の権利保護や決済を効率化するサービスを提供し、住宅取引だけでなく大口の商業取引にも対応しています。
主要な顧客は住宅購入者、商業不動産の貸借当事者、銀行やモーゲージ業者、そして不動産仲介や代理店です。同社の収益はタイトル保険の保険料やエスクロー手数料が中心で、これらは不動産取引の量や物件価値に連動し、リタイアメント商品は保険料と運用収益で利益を生み出します。
事業構造は大きくタイトル部門とF&Gと呼ぶ保険・年金部門に分かれており、タイトル部門は約1,300の直営オフィスと約5,100の代理店ネットワークを通じて住宅向けが中心ながら商業向けも重要な柱になっています。F&G部門は固定年金や生命保険を銀行やブローカー、独立系販売組織に供給し、技術投資やチャネル拡充、投資運用を通じて収益性とリスク管理の向上を図っています。
経営方針
同社は資産成長と安定した利益拡大を目指しています。特に保険・年金を扱うF&G部門では「資産の拡大を原動力に一貫した収益を生む」ことを戦略目標として掲げており、タイトル事業では米国市場でのプレゼンスを厚くすることで成長を図っています(2024年の時点でタイトル市場シェアは約32%、F&Gの固定金利年金準備金は純再保険後で約60億ドル、平均クレジット利率は2024年で5%)。資本政策でも配当(2024年通期で1.94ドル、2025年2月に四半期0.50ドルを宣言)や株式買戻し(最大2,500万株までのプログラム)を通じて株主還元を継続する方針です。
同社はディストリビューションと投資運用を重点的に強化して差別化を図っています。販売面では銀行・ブローカーディーラーや約13万8千の独立保険代理店へアクセスする広範な流通網を持ち、最近は自社系の販売チャネルを獲得するためRoar(70%取得、総対価約3.16億ドル)やPALH(100%取得、総対価約3.14億ドル)などの買収を実施しました。投資面では高品質の債券中心のポートフォリオで絶対収益と流動性を重視し、Blackstoneとのパートナーシップで投資上の競争優位を維持することで、他社と差別化しています。
同社は新市場開拓と事業拡大を買収とチャネル育成で進めています。買収・処分を継続的に検討し、買収後は経営陣との協働や管理ノウハウでシナジーを追求する方針を示しており、F&Gではミドル所得層や高齢化に伴う退職市場の取り込みを明確に意識しています(65歳以上人口は今後25年で約23%増と見込まれ、定年層のニーズは拡大)。また、保険料既存契約の継続性や商品設計に関しては、引受・行動仮定の見直しや流動性管理で金利変動リスクに備えています。
同社は技術革新とリスク管理に継続投資し、顧客体験と効率性の向上を目指しています。タイトル事業では注文・エスクローのプロセス改善に向けた情報システムを展開し、サイバーセキュリティやデータ保護を経営管理の重要課題として位置づけています。こうしたプラットフォーム投資は人件費や運営費の増加(2024年の人件費は約2.96億ドル、その他営業費用と合わせて約4.99億ドル)にもつながっていますが、同社はこれらを効率化と商品差別化のための中長期投資と捉えています。