FabrinetFN

時価総額
$172.6億
PER
精密光学・電気機械の製造受託サービスの最大手。カスタム光学部品と垂直統合による精密製造を展開。2025年2月のチョンブリ新工場建設契約(約1.325億ドル)。タイを中核とした北米・欧州・アジア太平洋での展開。

事業内容

Fabrinetは精密光学、電気機械、電子機器の受託製造を行う企業で、特に光通信向けの高付加価値モジュールや部品の量産を主力としています。同社は設計支援から試作、量産、組立、品質管理まで一貫して手掛け、顧客の製造コスト削減と納期短縮に注力しています。

主要顧客は光通信機器メーカーなどの大手OEMで、売上は少数の大口顧客に偏る傾向があります。同社はマスター契約に基づくプロジェクト単位の受注で収益を上げており、顧客の発注変動や与信リスクが業績に影響する一方で、専用ラインや在庫最適化を通じて収益の安定化を図っています。

事業は大きく精密光学・電気機械・電子の製造サービスと、カスタム光学・ガラス製品の設計・加工の二本柱で成り立っています。同社は設計段階での製造性向上支援、光学パッケージの開発、顧客専用の「工場内工場」や新製品導入(NPI)センター、そして部品調達を含む供給網の一括管理を組み合わせ、カスタム光学の内製化により納期とコストの改善を進めています。

経営方針

同社は光通信分野でのリーダーシップを強化しつつ、売上の拡大と収益性維持を図ることを成長戦略の柱としています。具体的には次世代の複雑な光学製品需要を取り込むために製造能力や光学パッケージング技術へ投資を継続しており、財務面では現金・現金同等物と短期投資で約$934.2百万(約9.34億ドル)を保有し、無借金の財務基盤を維持しています。過去の業績の例として、同社は2024会計年度に純利益約$296.2百万(売上に対して約10.3%)を計上しており、短中期的には光通信中心の売上を確保しながら非北米地域の比率を高めることを目指しています。

重点投資分野として同社は「工場内に専用区画と専任チームを設ける」いわゆる工場内工場方式、カスタマイズされた光学・ガラスの垂直統合、そして部材・在庫を最適化する独自の資材管理ツールを挙げています。これらにより顧客ごとの設計・製造ノウハウを囲い込み、知的財産保護を高めつつ歩留まり改善やリードタイム短縮を図り、価格競争に左右されにくい付加価値の高い受注を獲得する差別化を図っています。具体的施策としては、設計段階からの製造最適化支援や高度な光学パッケージング技術の提供を通じて、顧客のトータルコスト削減に貢献することを重視しています。

新市場開拓と事業拡大では、光通信依存を低減するために産業用レーザー、医療機器、センサーなど関連領域への多角化を進めています。新製品導入(NPI)センターをシリコンバレーとイスラエルに設置し、デザイン・製造適合性の検証を現地で行ってからタイの量産拠点へ移管する仕組みを構築しています。生産能力拡張の具体例としては、2025年2月にチョンブリキャンパスで約2.0百万平方フィートの新工場建設を開始し、建設契約金額は約$132.5百万、同社の外部への資本支出コミットメントは約$201.3百万となっています(購入義務は約$1,409.6百万)。

技術革新への取り組みは研究開発とプロセス改善の両輪で進められており、同社は製造プロセス設計・実験(設計のための実験設計)や独自の自動化された生産管理ソフトを用いて、混流・多品種の高難度品を効率的に扱う能力を高めています。これにより、製品ライフサイクルでのスクラップ低減や工程改善によるコスト低下を目指し、将来的な競争力維持につなげる計画です。人件費上昇や地域別賃金変動といったコスト圧力も見込んでおり、同社は生産性向上と資産活用の改善を通じてこれらを相殺することを目指しています。