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NATIONAL BEVERAGE CORPFIZZ
事業内容
NATIONAL BEVERAGE CORPは米国を拠点にノンアルコール飲料の開発・製造・販売を行う会社で、特に高級炭酸水のLaCroix(ラクロワ)などが知られています。同社は炭酸水やフレーバー飲料、ミキサー類など多様な飲料を自社工場で生産し、品質管理や新味の開発に力を入れています。
同社の顧客は大手スーパーマーケットや会員制倉庫店、ドラッグストア、コンビニエンスストアのほか、学校や病院、ホテルなどの業務用卸業者まで幅広くなっています。収益は主に製品売上で、倉庫を経由する小売向け出荷と店舗への直送を組み合わせたハイブリッドな流通で商品を届けています。自社の営業チームや専門ブローカー、販促用の自動販売機や冷蔵ケースを活用して販売促進を行い、チャネルごとに価格やパッケージを使い分けています。
事業は大きく「家庭持ち帰り向け」「コンビニ向け」「業務用(フードサービス)」に分かれており、それぞれに最適化した包装やグラフィックで差別化を図っています。製品の多くはアルミ缶で販売され、同社は複数の商標を保有し、SNSや地域イベント、店頭プロモーションを通じてブランド認知と消費者ロイヤルティの向上に努めています。
経営方針
同社は安定したキャッシュフローを基盤に、株主還元と慎重な成長投資の両立を目指しています。2024会計年度(Fiscal 2024)には営業活動によるキャッシュが約1億9,790万ドルと堅調で、現金は前年より約1億6,900万ドル増加しました。財務の健全性も高まり、運転資本は約3億9,890万ドル、流動比率は3.9倍、棚卸資産回転率は8.6回、売上債権回転日数は31.5日と改善しています。株主還元では2024年6月に1株あたり3.25ドルの特別配当を発表しており、過去にも1株あたり3.00ドルの特別配当を実施しているほか、総計3.2百万株の自社株買い枠(残り約1.9百万株)を設定しています。
同社は製造能力強化、持続可能性、パッケージングに重点投資することで競争優位を築くことを目指しています。2024会計年度の設備投資は約3,020万ドルで、その多くが生産能力拡大や省エネ・パッケージ改善に充てられており、2025会計年度も同水準の投資を見込んでいます。原材料についてはアルミ缶などのコモディティ価格変動に備えてアルミスワップ等のヘッジを行い、原材料購入コミットメントは2026年までで約3,540万ドル、工場・設備の発注残は約370万ドルです。マーケティング面ではデジタルとソーシャルメディアを強化し、魅力的なフレーバー開発やパッケージで差別化を図っている点も特徴です。
同社は新市場開拓と販路拡大を通じて成長を追求しています。流通は「テイクホーム(食料品等)」「コンビニ」「フードサービス」の三本柱のハイブリッド方式で、倉庫経由配送を中心に大手小売店の集中物流を活用することで低コストで広い流通網に対応しています。フードサービスや自販機・冷蔵什器の設置による現地プロモーション、そしてEコマースやデジタル販促の強化を進めることで新たな需要を取り込む戦略を目指しています。加えて、全米12拠点(自社10、賃貸2)で約200万平方フィートの生産能力を維持し、地域別需要に応じた供給体制を確保しています。
同社は技術革新では「効率化」「品質管理」「情報セキュリティ」を重視しています。研究・品質管理ラボで継続的に新フレーバーや品質試験を行い、製造面では軽量容器やブレンド効率向上などの段階的な技術改良を実施しています。ITとサイバーセキュリティには内部の経験豊富なチームと外部ベンダーを併用し、インシデント対応計画や保険も整備しており、2024会計年度には重大なサイバー事案は確認されていません。さらに物流・現場の環境負荷低減のためフォークリフトの電動化や再生可能エネルギーの調達など具体的施策を実行中で、これらを通じて運用効率とブランド信頼の両立を目指しています。