COMFORT SYSTEMS USA INCFIX

時価総額
$340.1億
PER
機械設備と電気工事の施工・保守を行う米国最大手。モジュール化・オフサイト施工とMEPプレハブを展開。2024年5月に北カロライナの配管業者を3990万ドルで買収。47拠点、2024年12月31日時点で7,935件・契約総額約143.5億ドルの米国全土展開。

事業内容

COMFORT SYSTEMS USA INCは、商業・産業・教育・医療などの非住宅施設向けに機械設備と電気設備の設計・施工・保守を主力で行う企業です。具体的には空調の主要機器(パッケージ型の冷暖房装置やチラー、ボイラー、空気処理機、冷却塔)や配管・ダクトの設置と、商業・産業分野の電気工事や電気系の設計・物流・保守サービスを手がけています。

同社の収益はプロジェクト単位の設置工事が中心で、約91%が新築や既存施設のシステム入れ替えによる工事収入です。定期的な保守・メンテナンス契約は約9%を占め、顧客は施設所有者や開発業者、製造・テクノロジー企業など多様で、規模や業種に応じて単発の入札受注と継続契約の両方で収益を上げています。

同社は機械(Mechanical)と電気(Electrical)の二つの事業セグメントで運営し、現場での見積もり・入札・工程管理・資材手配・労務配置を自社で実行します。近年は工場で組み立てて現場に搬入するオフサイト(モジュール)施工や設計・モデル化技術への投資、買収による地域拡大を進めて生産性とサービス範囲の拡充を図っています。

経営方針

同社は持続的な成長と安定したキャッシュ創出の拡大を目指しています。2024年の連結売上高は約$7.03 billion(機械部門 $5.53 billion、電気部門 $1.50 billion)であり、案件ベースのバックログは約$14.35 billion、進行中プロジェクトは7,935件という規模感を背景に、規模の経済を活かして収益性を高める方針です。財務面では過去26年連続のフリーキャッシュフロー創出実績と、2024年末時点で借入可能なクレジット枠$770.0 millionを有しており、配当や自社株買いといった株主還元をバランスさせながら、ネットレバレッジなどの健全性を保つことを重視しています。2024年の設備投資は約$111.1 millionで、成長のための投資余力を維持しています。

同社は重点投資分野として設計・モデリング力、プレファブ(部材の工場製作)やオフサイト(現地外での組立て)によるモジュール建設、そしてサービス(保守・メンテナンス)の強化を掲げています。現地対応力を保つために47の拠点を地域分散させた分権的な運営を続けつつ、設計や安全、福利厚生など一部機能は集約して効率化を図り、資材調達や技術ノウハウを横展開することで差別化を図っています。産業別ではテクノロジー33.2%、製造27.3%、教育や医療など公共・制度系も重視しており、多様な顧客構成で需要変動に備える戦略です。

新市場開拓と事業拡大は主に買収による成長が柱です。同社は既にEldeco(買収総額約$74.0 million)、DECCO(約$59.8 million)、2024年にノースカロライナの配管サービス事業(約$39.9 million)など複数の地域・専門性を持つ事業を取り込み、地理的・サービス領域の拡大を進めています。買収候補は「組織化された労働力、安全実績、設計・省エネ能力、安定したキャッシュ創出」を重視して選定しており、また全国口座や地域大口案件の獲得を通じて売上の安定化とスケール拡大を図っています。資本配分ではM&Aだけでなく自社株買いや配当も組み合わせ、総合的な株主価値の向上を目指しています。

技術革新への取り組みでは、設計の精度向上と生産性改善が中心テーマです。同社はBIM 等の設計モデリングやプレファブ技術を導入・拡大し、現場での手戻りを減らすことで工期短縮と品質向上を図っています。モジュール化やオフサイト施工によって現場での組立作業を最小化し、複雑な産業プラントや製造ラインの施工で競争優位を築く方針です。さらに人材育成や専門家の採用、社内教育を通じて技術の内製化を進め、将来の自動化や効率化の波に備えています。