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Fidelity National Information Services, Inc.FIS
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事業内容
Fidelity National Information Services, Inc.は金融機関や企業向けに決済・口座管理・証券処理などの基幹システムを提供するグローバルなテクノロジー企業です。 同社は決済処理、コアバンキングやカード発行、トレジャリー(資金管理)やリスク管理のソフトウェアと運用サービスを中核に据え、クラウドを活用した近代化も進めています。
同社の主要顧客は大手・地域の銀行、資産運用会社、保険会社、企業など幅広く、各種金融機関が中心です。 収益は長期契約に基づく定期的な手数料やソフトライセンス、クラウドやアウトソーシングによるサービス料、取引や決済に応じた手数料などが混在し、繰り返し発生する収入が安定感を支えています。
同社の事業は大きく銀行向けソリューション、資本市場向けソリューション、そしてコーポレート系の「その他」部門に分かれています。 銀行向けは口座管理やカード・決済の処理を担い、資本市場向けは取引・清算、資産サービス、貸出やトレジャリー・リスク管理を提供しており、近年はデータ分析や自動化、クラウド移行によるサービス強化にも注力しています。
経営方針
同社は中長期的に収益と株主還元の両立を目指しています。2024年の銀行向けソリューション部門の売上高は約68.9億ドル、調整後EBITDAは約30.3億ドル(マージン44.0%)となり、資本市場向け部門は売上高約29.8億ドル、調整後EBITDA約15.2億ドル(マージン51.0%)と堅調に推移しています。2024年1月に完了したWorldpay事業の売却は企業価値185億ドル、同社が受領した正味現金は120億ドル超で、その一部を借入金の返済や株式の自己株買いに充て、2024年には約5,400万株、合計40億ドルを自社株買いに使いました。こうした資本配分により、同社は投資と株主還元を両立させつつ、格付けを投資適格で維持(S&P BBB、Moody’s Baa2、Fitch BBB)することを目指しています。
同社は差別化の源泉としてプラットフォームの近代化とグローバルな規模を挙げています。具体的にはサーバー基盤を自社のプライベートクラウドへ大幅に移行し、必要に応じて地域ごとにパブリッククラウドを補完する体制を構築しています。ソフトウエア開発は内製とM&A、戦略的パートナーを組み合わせる「Build, Buy, Partner」戦略で進め、既存顧客へのクロスセルと新規獲得を図っています。また、人件費の生産性向上や業務の外部委託により運用効率を高める施策(「Future Forward」等)を継続し、収益性の改善を実現しています。
同社は新市場開拓と事業拡大を慎重かつ積極的に進めています。Worldpay売却で得た資金は自己株買いに加え、将来の買収余力や一般企業目的の資金に振り向ける計画であり、2024年8月には追加で30億ドル分の株式買戻し枠を承認しています。事業面では銀行や資本市場の大手から地方中小まで幅広い顧客層をターゲットに、支払い処理、トレジャリー、貸出、リスク管理といった領域での契約拡大を狙い、SaaS等の継続収益モデルへの移行とライセンス販売の組み合わせで売上の安定化と拡大を図っています。さらに、Worldpayとの移行支援契約や商取引契約を通じて顧客へのサービス継続性を保ち、解約リスクの低減にも努めています。
同社は技術革新を成長の中心に据えています。既存の基幹系ソフトウエアを近代化し、オープンAPIや機械学習・人工知能を取り入れた次世代ソリューションを開発しているほか、クラウド主体の提供モデルや運用自動化によって導入スピードと可用性を高めています。サイバーセキュリティと規制対応にも投資を増やし、顧客が早期に設計段階から同社を採用できる「早期参画」を狙う営業体制を整備しています。一方で、過去の買収によるのれんは約173億ドルと大きく、経済悪化時の減損リスクを管理するため、同社は評価と資産配分の見直しを継続しています。