FIRST HORIZON CORPFHN

時価総額
$110.2億
PER
消費者・商業向けの銀行業の有力企業、160年の歴史。固定収益のセールス・トレーディングや住宅ローン、モーゲージ倉庫貸出を展開。2020年7月の合併完了や2024年末の総資産821.5億ドルの実績。米国南部・中西部中心に展開。

事業内容

FIRST HORIZON CORPは米国を拠点とする銀行持株会社で、個人や企業向けの預金・貸出を軸に、住宅ローンの組成や流通、債券などの有価証券の売買・引受、資産運用や信託業務など幅広い金融サービスを提供しています。

同社は支店網とオンライン窓口を使って日常の銀行業務を提供しつつ、ホールセール部門での資本市場取引やモーゲージ業務も展開しています。

同社の主要顧客は個人、法人、他の金融機関、自治体など多岐にわたり、収益は貸出利息などの利ざや収入と、手数料や資本市場関連の手数料収入の組み合わせで成り立っています。

特に債券販売やモーゲージ関連のホールセール業務は金利やイールドカーブの動きに敏感で、金利環境によっては他の業務が落ち込む中で相対的に好調になることもあります。

同社の事業は大きく消費者・商業銀行、住宅ローン(モーゲージ)業務、資本市場・債券取引、ウェルス(資産運用)と信託・決済サービスといったセグメントに分かれており、それぞれが個別の収益源を持っています。

また、設備投資やクレジット関連の専門貸出、クレジットカードや機器ファイナンスなどの補完的な商品群でも収益を積み上げています。

経営方針

同社は持続的な有機成長を中核に据えつつ、機会があれば戦略的な買収も活用して拡大を図る成長戦略を掲げています。明確な定量目標を単独で公表しているわけではありませんが、2024年の業績では普通株主に帰属する当期純利益は約7.38億ドル、自己資本利益率は約8.8%、総資産は約821億ドルとなっており、同社は資本効率の改善と収益の安定化を目指しています。経営陣は合理的な資本配分とリスク調整後の収益性を重視し、長期的には簿価・一株当たりの価値向上を狙っています(2024年の有形簿価は1株当たり約12.85ドル)。

重点投資分野は技術基盤の近代化、専門商業ローンや富裕層向けのプライベートバンキング、固定収益商品・資本市場関連の事業などです。同社は2021年以降プラットフォームや業務プロセスの刷新に大きく投資しており、これにより顧客接点のデジタル化と支店網の最適化を進めています。差別化戦略としては「顧客を深く理解して個別化されたサービスを提供する」ことを掲げ、データ活用や人によるきめ細かな対応の両面で他行と差をつける方針です。収益構成の例としては、2024年の利息収入が約25.11億ドル、非利息収入が約6.79億ドルで、これらを組み合わせて手元のプレプロビジョン収益を強化しています。

新市場開拓と事業拡大については、既存の米国内市場でのシェア拡大を基軸に、適時に買収や提携を行うアプローチを採っています。過去の具体例としては、2020年のIBERIABANK(IBKC)との合併や、Truistからの支店取得などで規模と地域を拡大してきました。将来のM&Aにあたっては、資本・流動性の確保、買収先の貸出ポートフォリオ評価、文化統合やシステム統合の効率化といった実務面の管理を重視しており、これらを適切に遂行することで成長の実現を図る計画です。

技術革新への取り組みは同社戦略の柱であり、業務効率化と顧客体験向上のための投資を継続しています。具体的にはデータ管理の強化と分析能力向上、人工知能を活用した顧客の個別化提案、外部ベンダーとの協業による機能導入などを進めています。一方でこれらは短期的にコスト負担を伴うため、投資の回収は中長期での見込みと位置づけており、サイバーセキュリティや事業継続性の強化にも並行して資源を割いています。総じて、同社は技術投資を成長と差別化の基盤と捉え、その効果を踏まえた慎重な実行を目指しています。