FEDERATED HERMES, INC.FHI

時価総額
$38.3億
PER
投資運用業の大手。機関投資家向けの投資信託、マネー・マーケット、ESG重視の運用戦略を展開。顧客は1万超の仲介機関を抱え、時価総額約26億米ドル(2024年6月30日)。米国を軸に欧州・アジアで展開。

事業内容

FEDERATED HERMES, INC.は資産運用会社で、個人投資家と機関投資家向けに投資信託や別口座を通じた資産運用を行っています。同社は短期運用から債券、株式、代替資産やプライベート市場向けの戦略まで幅広い運用を提供し、運用助言やファンド管理、販売支援もしています。

主要な顧客は銀行、保険会社、年金、運用助言会社や証券仲介業者などの機関投資家および金融仲介業者で、特にマネーマーケットや債券、代替資産での機関保有が大きいです。同社の収益は運用資産残高に応じた管理報酬や販売手数料が中心で、資産規模や市場での競争状況により増減します。

事業は経営上は単一の運用事業として管理しており、主な製品ラインは自社ブランドの投資信託、別口座、マネーマーケット、株式・固定収入戦略、代替・プライベート市場向け戦略などです。同社は新商品開発や買収での成長を目指す一方で、外部サービス業者やシステムに依存しており、手数料競争や運用体制の維持が収益に影響するとしています。

経営方針

同社は持続的な資産運用の拡大と収益の安定化を成長戦略の中核に据えています。報告書では明確な成長率目標は示されていないものの、時価総額は2024年6月30日時点で約26億ドル、連結資産は2024年末で約20.8億ドルといった基盤を背景に、運用資産の増加と収益構造の多様化を目指しています。財務面では長期負債(約3.48億ドル)や2032年満期の3.5億ドルシニア債を活用しつつ、買収や商品投入を通じて規模の拡大と手数料収入の上積みを図る方針です。

同社は重点投資分野としてマネー・マーケット、固定利回り(債券)およびオルタナティブやプライベート市場を挙げ、これらを差別化の源泉にしています。特に銀行や保険会社など機関投資家向けの提供が収益の大きな割合を占めており、販売網は1万を超える金融仲介機関を通じた分散を強みとしています。顧客引き留めのために手数料を一時的に免除する仕組みや、環境・社会・ガバナンス要素を統合した商品群で差別化を図り、既存顧客の流出抑制と新規資産の獲得を狙っています。

新市場開拓や事業拡大は買収と商品開発を通じて進められています。同社は他運用会社や運用権を買い取ることによる「運用権」(fund management rights)の取得を繰り返しており、2018年の買収後に該当の無期限無形資産を評価・減損処理した経験から、買収後の統合とキャッシュフロー見通しの慎重な管理を重視しています。新商品の市場定着には通常3年以上が必要と認識しており、短期的な流入確保だけでなく中長期でトラックレコードを築くことを前提に、グローバルな販売チャネル拡充と機関顧客向けの提案力強化を進めています。

同社は技術投資とシステムの近代化にも注力しています。クラウド環境への移行やシステム統合、サイバーセキュリティ対策の強化を進め、運用・管理業務の自動化やリスク管理の高度化を目指しています。一方で外部委託先や既存システムの脆弱性が業務リスクになり得ると認識しており、監査や内部統制の整備、第三者サービスのデューデリジェンスを通じて安全・安定な運用基盤の構築を図っています。