F&G Annuities & Life, Inc.FG

時価総額
$42.2億
PER
年金・生命保険の引受と販売の大手。アニュイティやインデックス型終身保険を展開。主要株主が約85%保有、2024年1月2日に共同事業体の70%を取得(買収対価316百万ドル)、2024年7月18日にIMOs運営会社を100%取得。米国中心の展開。

事業内容

F&G Annuities & Life, Inc.は年金(アニュイティ)商品と生命保険を中心に販売する金融保険会社です。同社は固定型や市場指標に連動する年金商品、各種の生命保険を通じて個人の退職後の収入や保障ニーズに応えています。

同社の主要な顧客は個人の契約者や退職者で、販売は独立系販売組織(IMO)、銀行や証券会社の代理店、独立代理店などのチャネルを通して行っています。収益は契約者からの保険料や年金への預託金、これらを運用して得る投資収益や手数料が中心で、販売量と運用利回りの差が利益に直結します。格付けは資金調達コストや商品魅力に影響する重要な要素です。

事業は大きく年金商品、生命保険、そして販売チャネルの自前運営に分かれます。同社は販売力強化のためRoarやPALHといった販売会社を買収してチャネルを拡充するとともに、運用資産と市場リスクの管理に注力して安定した収益化を図っています。

経営方針

同社は成長を「チャネル強化と投資収益の営業収益化」を軸に進めています。具体的には、販売チャネルを自社で持つことによる収益の安定化と、運用資産からの追加的な利息収入を営業利益に変換することを目指しています。参考に、2023年のプロフォーマベースの総収入は約45.6億ドルで、同社が保有する一部商品の組み入れデリバティブ負債は2024年末時点で約52億ドルに上るなど、事業のスケールは大きく、資本効率と利回りの改善が経営上の重点課題になっています。

同社は重点投資分野として「所有する流通チャネル」への出資を掲げています。近年ではRoarの70%取得(取得時の総考慮額は約3.16億ドル、業績連動で最大約9,000万ドルを支払う契約)やPALHの100%取得(総考慮額約3.14億ドル)など、銀行やブローカー向けの卸売網や代理店ネットワークを買収して販売基盤を固めています。同社はこうした所有型の流通投資を通じて販売手数料や継続手数料を確保し、競合他社と比べて販売力と収益の直結を差別化要因としています。

新市場開拓と事業拡大は買収と少数株投資の複合で進められています。2023〜2024年にかけてDCMT(40%出資)、Syncis(49%出資)、Quility(30%出資)といった分散的な出資も行い、地域・チャネル別の販売接点を拡大しています。Roarは銀行・ブローカー向け、PALHは個人向け代理店網といったように取得先ごとにターゲット市場を明確化し、買収時のEBITDA連動の追加対価や最大4,000万ドルの貸付枠を設定するなど、成果に応じた資本配分でリスクとリターンを管理しています。ただし同社自身も買収統合によるシステム統合や人材維持などの実務的リスクを明確に認識しています。

技術革新については情報セキュリティと顧客向けのデジタル化を両輪で強化しています。最高情報セキュリティ責任者(CISO)と最高情報責任者(CIO)が統括し、外部による年次の脆弱性診断や侵入試験、24時間体制の監視センターの導入、月次のサイバーリスク検討会の実施、サイバー保険の加入など具体的対策を講じています。また業務の一部は外部事業者に委託しており、その結果として社内資源を商品開発やアクチュアリー、投資管理など差別化領域に振り向け、顧客の自己操作や販売プロセスのデジタル化を進めています。内部統制面でも、2024年12月31日時点での財務報告の内部統制が有効と経営陣が評価され、監査法人の意見も付されている点はガバナンス強化の裏づけになっています。