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First Foundation Inc.FFWM
事業内容
First Foundation Inc.は米国で銀行業務と資産運用、信託サービスを一体で提供する金融サービス会社です。同社は個人や法人に対して預金や貸出に加え、投資助言や富裕層向けの資産管理、信託を組み合わせたワンストップの金融プラットフォームを提供しています。
同社の主要顧客は高資産個人とその家族、家族経営の事業、さらに小〜中規模の企業や専門職事務所です。収益は貸出と預金の金利差による利息収入と、投資助言や信託で得られる継続的な手数料収入の両方が柱になっています。
同社の事業は大きく銀行部門と投資顧問・資産管理・信託部門に分かれています。銀行部門では普通預金や定期預金、事業向けの現金管理や各種貸出を扱い、投資・信託部門では運用助言やポートフォリオ管理、信託受託といった手数料型サービスを担当者がチームで提供しています。
経営方針
同社は財務基盤の強化と貸出ポートフォリオの多様化を目指しています。具体的には、2024年7月に総額約2.28億ドル(手取り約2.145億ドル)の増資を実施し、資本の充実と流動性の確保を図りました。2024年末時点で総資産は約126億ドル、貸出残高は約92億ドル、預金は約99億ドルといった規模があり、これらのバランスを改善するために、貸出の集中分野を縮小し、与信リスクの分散を進める戦略を採っています。多様化の実行は時間と経営資源を要するため、貸出の再編や一部資産の売却など段階的な施策で進める方針です。
同社はウェルスマネジメントとトラスト業務を成長の重点分野と位置づけ、手数料収入による安定化を目指しています。投資助言・資産運用部門(FFA)は約54億ドルの資産運用(AUM)を擁し、信託資産のアドバイザリーも約12億ドルを取り扱っているため、高付加価値の顧客関係を通じた継続的な手数料収入の拡大を狙います。中小企業や専門職向けの商業銀行業務と連携した「一体型プラットフォーム」での提案を差別化要因とし、営業報酬制度でもチームでの提案を奨励している点が特徴です。
新市場開拓や事業拡大については、既にカリフォルニア、ネバダ、フロリダ、テキサス、ハワイで事業展開している基盤を活かし、支店網やデジタル口座開設を組み合わせた顧客獲得を進めます。支店は戦略的に配置した約29拠点を中心に展開しており、増資や定款変更(発行可能株式数を2億株へ拡大)により将来的なM&Aや資本施策の柔軟性も確保しています。ただし貸出多様化や資産売却はコストや時間を要するため、期待される効果が得られないリスクにも留意しながら段階的に進める方針です。
技術革新と内部統制の強化にも力を入れています。同社は情報セキュリティ責任者と最高技術責任者が中心となり、連邦の評価ツールに基づくサイバー対策やインシデント対応計画を運用し、オンラインバンキングやモバイル入金、リモートデポジットなどのデジタル機能で顧客利便性を高めています。また、2024年に報告された与信引当(ACL)に関する統制上の課題を受けて、追加人員の採用やモデル管理・IT入力データの検証強化など具体的な是正策を実行しており、財務報告の信頼性とリスク管理の向上を目指しています。