Four Corners Property Trust, Inc.FCPT

時価総額
$24.1億
PER
レストラン向け不動産の投資・賃貸事業の大手。ネットリースで平均契約残存期間約7.3年、年平均賃料上昇率1.4%を展開。2024年に87物件を取得で273.0百万ドル投資、オリーブガーデン314店の高比率を保有。米国中心に展開。

事業内容

Four Corners Property Trust, Inc.は、主にレストラン向けの不動産を取得・保有し、長期のネットリース契約で貸し出す不動産投資信託です。加えて、自らレストラン事業(Kerrow)を運営して業界知見を深めながら、賃貸収入以外の収益源も確保しています。

同社の主な顧客は大手レストランチェーン(例:DardenやBrinkerなど)で、収益は主に長期賃料収入から成り立っています。テナントが建物の維持や保険、税金、共用部費用、光熱費を負担するネットリース構造のため、安定したキャッシュフローを見込みやすい仕組みです。

事業は大きく不動産事業とレストラン事業の二本立てで、前者は物件の取得・保有・リース管理と、テナント交代時の再賃貸対応を行っています。後者のKerrowは実際の店舗運営を担い、物件の価値評価や将来の取得判断に役立つ運営ノウハウの蓄積と収益多様化を目指しています。

経営方針

同社は安定した収益基盤の拡大と株主還元の継続を目指しています。2024年は87件、総額約2.73億ドルの物件買収を行い、当期純利益は約1.006億ドル(100,595千ドル)を計上しました。ポートフォリオの規模は総資産約26.5億ドル、純不動産投資額は約24.2億ドルに達しており、長期保有のネットリースによる賃料収入で四半期配当(2024年は合計0.3450ドル×4回=年間約1.38ドル/株)を支える方針です。資金面では、2025年1月に約9.40億ドル規模の借入枠を確保(うちリボ枠は3.5億ドル)するとともに、最大5.00億ドルの随時売出(ATM)枠を活用しており、成長資金の確保とバランスシートの安定化を重視しています。

重点投資分野は引き続きレストラン物件を軸としつつ、時間をかけて非飲食系のリテールにも広げることで特定テナントへの依存を低減することを目指しています。具体的にはオリーブガーデン等の大型ブランドに偏重したポートフォリオ(オリーブガーデンが314店舗)を抱える一方で、2024年に取得した一部ネットリース物件は投資利回り約6.45%、残存リース期間約12.8年といった収益性の高い案件も組み入れており、賃料上昇率は2029年まで年平均約1.4%(年次加重値)という契約条件により長期で安定したキャッシュフローを確保する差別化を図っています。さらに、借主が建物維持や税・保険を負担するネットリース契約を主軸にすることで運営リスクを限定しています。

新規市場や事業拡大については、既存の資金調達手段を活用して積極的に物件取得を続ける計画です。例として2024年末時点で未使用のATM枠は約4.139億ドル、短期的に利用可能なリボルビング枠は約2.45億ドルといった流動性を背景に、取得資金や既存債務の借換えを行っています。また、テナントが退去した場合の再テナント化リスクに備え、全国的なリーシングネットワークと自社の運営会社(Kerrow)で得た飲食業の知見を活用し、空室の早期再稼働と第三者テナントへの拡大を狙っています。これにより、DardenやBrinkerといった主要テナントへの集中を緩和することを目指しています。

技術面では、サイバーセキュリティと内部統制の強化に注力しています。同社はNISTのフレームワークを指針としたサイバーリスク管理体制を整備し、専任のセキュリティチーム、外部専門家の活用、従業員向けの啓発・訓練、インシデント対応計画、取引先リスク管理などを導入しています。財務面では、COSO(2013年)基準に基づく内部統制を経営が評価し、独立監査人(KPMG)から財務報告の内部統制について適正意見を得ており、透明性ある情報開示と堅牢なガバナンスで成長と資金調達を支える取り組みを進めています。