FIRST CAPITAL INCFCAP

時価総額
$1.6億
PER
預金・貸出を中心とする地域銀行の有力企業。住宅ローン・商業不動産融資や二次市場向け貸出を展開。NASDAQ上場、2024年は配当0.29ドルを実施、時価総額約9640万ドル。インディアナ州・ケンタッキー州中心に展開。

事業内容

FIRST CAPITAL INCは地域密着型の銀行持株会社で、傘下の銀行を通じて預金口座、住宅ローンや商業ローン、投資商品などの金融サービスを提供しています。同社は対面での顧客対応や地域貢献を重視し、個人と地元中小企業を中心に幅広い金融取引を扱っています。

主要な顧客は地域の個人や住宅ローン利用者、地元の事業者で、収益の中心は貸出金利と預金金利の差によるネット金利収入です。同社は住宅ローンの二次市場での売却や各種手数料といった非利息収入を増やすことで収益源の多様化にも取り組んでいます。

事業は預金の集積、各種貸出の組成、余剰資金の運用という三本柱で構成されています。貸出分野では一~四戸向け住宅ローン、多世帯住宅、商業用不動産、事業融資、消費者ローンや住宅担保ローンなどのラインを持ち、運用面では米国債や政府系証券、住宅ローン担保証券、地方債などで余剰資金を運用しています。

経営方針

同社は堅実な成長と収益性の改善を両立させることを目指しています。具体的には、預金を基盤に住宅ローン、多世帯住宅ローン、商業不動産・事業ローン、消費者ローンを積極的に組成し、ローン残高と二次市場向け貸出の拡大を図る方針です。2025年は不良資産を抑制することに重きを置き、回収強化と不振債権の引受審査の厳格化により「非稼働資産の低水準維持」を目標にしています。直近の指標としては、貸倒引当率(ACL)が2024年12月31日時点で総貸出金の1.45%、非稼働貸出に対しては211.8%となっており(2023年はそれぞれ1.29%・457.2%)、資産品質管理にも注力している点がうかがえます。

重点投資分野は商業不動産や商業向け事業融資、そして消費者向けローンと住宅関連で、二次市場での貸出を増やすことで手数料収入などの利息外収入を伸ばす戦略を取っています。同社は地域密着の顧客対応と地域貢献を差別化要因と位置づけており、地元学校などへの活動を通じて次世代顧客の獲得を目指しています。また、商品ラインアップの拡充や手間のかかる業務の効率化により非利息収入の増加と非利息費用の削減を図る施策を外部コンサルの提言に基づき実行中です。

事業拡大の計画としては、既存市場での貸出拡大と、二次市場への販売プログラムの強化が中核です。具体策としては低コストの資金源となる商業・個人の要求払預金の増加を狙う販売促進、住宅ローン等の保有分を適切なタイミングで二次市場に売却して手数料収入を確保すること、役員や主要従業員への株式報酬制度(2024年2月に3,150株の制限付株式を付与、付与時価格28ドルで総額約88,000ドル)などを通じた人材の確保・インセンティブ整備があります。株主還元面では2024年の年間総合株主還元は配当1.12ドルを含め19.6%の上昇を記録しており、財務面のバランスをとりながら配当政策を運用しています(将来の配当は業績・資本事情に依存)。

技術革新面では、同社は近年の投資を活用して従業員の生産性向上と業務効率化を進めると同時に、情報セキュリティを経営上の重要施策として位置づけています。最高情報責任者(CIO)を任命し、多層防御の考え方に基づく監視・予防技術、外部専門家による脆弱性診断や模擬演習(テーブルトップ演習)の定期的実施、取引先のデューデリジェンスやアクセス制限などでサードパーティリスクの低減に取り組んでいます。これらの取り組みにはハード・ソフト費用、外部委託費、保険料、法務費、人員コストといった投資が伴い、事業継続性と顧客データ保護の両面で強化を図っています。