Franklin BSP Realty Trust, Inc.FBRT

時価総額
$8億
PER
商業用不動産債務投資の大手。ファーストモーゲージ、メザニン、CMBS向けローンなどの債務商品を展開。2013年5月事業開始、フランクリン・テンプルトン傘下のアドバイザーが運用。2024年に391,863株の買戻し(総額約490万ドル)を実施。米国中心に展開。

事業内容

Franklin BSP Realty Trust, Inc.は、不動産投資信託(REIT)として主に商業用不動産向けの債権を組成・取得・管理する事業を行っています。同社は担保付きのファーストモーゲージやサブオーディネートローン、メザニンローン、ローンの参加持分などに投資し、さらに商業用不動産ローン担保証券(CMBS)やCDOといった不動産関連証券にも投資しています。

同社の主要な顧客は不動産を運営する借り手や、仕組み債の購入者などで、利息収入や証券からの利回り、起案や資産管理に伴う手数料が収益の中心です。また、資金調達には借入やリポ取引、証券化などの手法を使い、レバレッジを活用して投資規模や収益性を高めることを目指しています。

事業は投資・起案(オリジネーション)、取得、保有中の資産管理、証券化・売却といった流れで構成されています。同社は課税上の理由で一部業務を課税子会社(TRS)経由で行い、外部のアドバイザー(Benefit Street Partners)とその関連会社が日常の投資判断や会計、法務、投資家対応などの主要業務を担っており、これらのサービスに大きく依存しています。

経営方針

同社は商業用不動産債務を軸に規模を拡大することで株主価値の向上を目指しています。具体的には、貸付の新規コミットメントが2024年末時点で約3.72億ドル($371,509千)あり、投資ポートフォリオは155件の商業用ローンで構成されています。資本政策では、四半期配当を1株当たり0.355ドル(2024年末時点)で維持するとともに、株主還元のための自社株買い枠を6500万ドルに設定(同年末の未使用枠は3110万ドル)し、さらに最大2億ドルの「市場での都度販売(ATM)」枠を確保して資金調達の柔軟性を高めています。帳簿価値は2024年末で1株当たり15.09ドル(完全転換ベースで15.19ドル)と安定した基盤を保っています。

同社は重点的に第一抵当やメザニン、参加型の融資など多様な商業不動産債務を取得し、差別化を図っています。コンクリートな施策としては、自己勘定での貸付に加え、子会社を通じて耐久的な証券化(CMBS=不動産担保証券)やCLO(債務担保証券の仕組み)向けの融資組成を行い、流動性と利回り機会を両立させています。運用はBenefit Street Partners(現フランクリン・テンプルトン系)が担い、資産管理手数料は年率1.5%(月割りで支払い)、総合的な実績連動報酬は株主総リターンが年率6.0%を上回った分の15%(ただし年間報酬上限は総リターンの10%)という報酬設計で、投資パフォーマンスと運用者の利害を連動させる仕組みを採っています。また、融資成立時の外部費用については元本の最大0.5%までの償還を受ける権利があり、実務面での迅速な投資実行力を確保しています。

新規市場や事業拡大では、自己勘定の貸付に加え、TRS(課税子会社)経由でのローン組成とCMBS等への売却を活用してバランスシート外での拡大を図っています。実例としては、同社が共同事業で取得し連結している物件案件(Jeffersonville JVなど)があり、発行済の担保付き債務やリポ(売買差入担保)など多様な調達手段を活用しています。契約上の長期的な資金調達義務も存在し、2024年末時点で総契約義務は約47.13億ドル($4,713,306千)にのぼるため、資金調達手段の最適化と売買・証券化の組合せで成長を図る計画です。

同社は技術と内部統制の強化により投資運用の効率化と透明性向上を目指しています。具体的には、開示・財務報告の統制が有効であるとの経営判断を示し、独立監査人(PwC)からの内部統制に関する無限定意見を得ている点を重視しています。加えて、流動性の乏しい資産の時価評価やリスク管理、コンプライアンス体制の運用にITと外部専門家を組み合わせることで精度を高め、サイバーリスクや規制変化への備えを整備することで長期的な安定運営を図る方針です。