First American Financial CorpFAF

時価総額
$64.5億
PER
タイトル保険・決済サービスの最大手。タイトル保険、クロージング・エスクロー、データ・タイトルプラント、銀行・信託、住宅保証を展開。2022年6月設定の株式買戻枠400百万ドル、2025年1月に1株0.54ドルの配当を宣言。米国を中心にカナダ、英国、韓国、豪州、ニュージーランドで展開。

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企業概況
104文字)
業績概況
テーマ
ブランド
ライバル企業
3社)
同業種の日本企業
1社)

事業内容

First American Financial Corpは、主に不動産取引に関連する権利保険(タイトル保険)と決済・クロージング業務を中心に、住宅向けのホームワランティーや銀行・信託、ウェアハウス貸付、モーゲージのサブサービスなどの金融・リスクソリューションを提供しています。同社は不動産取引の安全性を高める保険と決済のワンストップサービスを中核に据え、データや技術を活用して手続きの効率化を進めています。

主要な顧客は不動産仲介業者やブローカー、住宅ローンの取り扱い業者、開発業者、投資家、法律事務所、生命保険会社など多岐にわたり、代理店チャネルを通じた紹介や大口の不動産取引先へ直接販売する形でビジネスを拡大しています。同社の収益は不動産と住宅ローン市場の動向に強く連動しており、2024年時点ではタイトル保険と関連サービスが連結収益の約9割超を占めています。

事業は大きく「タイトル保険とサービス」セグメントと「ホームワランティー」セグメント、コーポレート業務に分かれており、前者が収益の中心です。同社は住宅・商業不動産向けの保険発行、クロージングやエスクロー、評価や書類管理、リースや差押え対応、タイトルプラントと呼ぶ自社データベースの管理・ライセンス供与、さらに国際展開(カナダ、英国、韓国、豪州、ニュージーランド等)にも注力し、技術による自動化とデータ優位性で業務効率と顧客体験の向上を図っています。

経営方針

First American Financial Corporation(以下、同社)は、コアであるタイトル保険と決済サービス事業を軸に、利益成長を図ることを目指しています。具体的には、2024年に同セグメントが連結売上の約93.6%を占めた事業を着実に成長させるとともに、データや技術を活用して収益性を高める方針です。資本配分面では取締役会が2022年に承認した最大4億ドルの自社株買い枠を通じて株主還元を行っており、2024年末時点で約1.2百万株、6850万ドルを買い戻し済み、残余枠は約1億4540万ドルです。また、2025年1月に1株あたり0.54ドルの四半期配当を宣言しており、同社は安定的な配当維持を目指しています。

同社はデータ資産と差別化されたサービスに重点投資を行うことで競争優位を築くことを目指しています。具体的には、地理別に整理した独自の「タイトルプラント(登記データベース)」やそれに紐づく分析ツールに投資し、与信・引受の自動化や検索効率化を進めています。知的財産保護にも注力しており、タイトル自動化やローンリスク評価、光学文字認識(OCR)やデータ抽出に関する特許出願・取得を進めることで、単なる価格競争ではない品質とスピードで差別化を図っています。財務面では投資資産の安全性にも配慮しており、2024年末時点で有価証券ポートフォリオの約95%が債券で、そのうち約71%が米国政府保証または最高格付(AAA/Aaa)相当、約97%が投資適格といった安全性を確保しています。

同社は新市場開拓と事業領域の拡大にも取り組んでいます。国際展開ではカナダ、英国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドなどに直接拠点を持ち、2024年は国際事業がタイトル事業収益の約7.3%を占めました。既存市場の拡大に加え、買収を通じて市場シェアやデータ・技術力を強化する計画を掲げており、これにより決済や銀行、倉庫貸付、モーゲージのサブサービシングなど関連サービスの提供範囲を広げています。一方で、買収後の統合リスクや規制対応の必要性にも言及しており、慎重な資本配分と統合計画の実行が重要であるとしています。

同社は技術革新を成長の中核と位置づけ、顧客体験と業務効率の改善を目指しています。手続きのデジタル化と自動化によりクロージング期間の短縮やリスク低減を図り、AIや高度な解析を用いて登記検索や引受判断の自動化を推進しています。さらに、銀行機能との連携を強化して決済の柔軟性を高める取り組みや、リアルエステック分野へのベンチャー投資を通じた外部技術獲得も進めており、これらを組み合わせることでプロセス革新と差別化されたサービス提供を狙っています。