Expedia Group, Inc.EXPE

時価総額
$290.4億
PER
法人向け旅行プラットフォームの大手。Rapid API、ホワイトラベル、エージェント向け予約ツール、最適化配信などの旅行技術とパートナー支援を展開。2019年の大型買収とメタサーチ持分保有、2024年12月31日時点で創業者系投資家が約31%の議決権保有。米国・欧州を中心に世界展開。

ランドスケープPowered by 会社四季報オンライン

企業概況
108文字)
業績概況
テーマ
2項目)
ブランド
5項目)
ライバル企業
2社)
同業種の日本企業
5社)

事業内容

Expedia Group, Inc.はオンラインで宿泊、航空券、レンタカー、クルーズや現地体験などの旅行商品を仲介・販売する大手企業です。同社は消費者向けにExpedia、Hotels.com、Vrboなどのブランドで予約サイトとアプリを運営し、旅行事業者向けにはパートナー向けの接続サービスやホワイトラベル、代理店用の予約ツール(Expedia TAAP)なども提供しています。

同社の主要な顧客は個人旅行者に加え、企業の出張担当、旅行代理店、航空会社や金融機関などの法人パートナーです。収益は、同社が商品を自社で販売して差益を得る直販型、仲介手数料を得る仲介型、そしてサイトやメタサーチを通した広告収入という複数の柱で成り立っています。

同社は事業を主に消費者向け(B2C)、法人・流通向け(B2B)、およびメタサーチ投資(trivago)に分けて運営しています。B2Cでは主要ブランドで宿泊やパッケージを販売し、B2BではAPIやホワイトラベル、卸流通や企業契約で幅広い取引先に供給しています。さらにOne Keyというブランド横断のロイヤリティや、宿泊供給の直接接続や最適配信といった仕組み、統一された技術基盤と24時間対応の顧客サポートでサービス品質の向上に取り組んでいます。

経営方針

同社は「誰もがどこへでも旅ができるようにする」ことを掲げ、グローバルな旅行プラットフォームとしての成長を目指しています。具体的な株主還元策としては、2023年10月に最大50億ドルの自社株買い枠を承認しており、2024年末時点で約32.3億ドル分が残っていると報告しています。また2025年3月支払い分として四半期配当を1株当たり0.40ドルで再開するなど、キャッシュの配分によって株主価値の向上を図っています(時価総額は2024年6月30日時点で約156億ドル)。こうした資本政策と並行して、既存顧客の利用拡大(ウォレットシェア拡大)や新規契約獲得による需要取り込みを成長の柱に据えています。

重点投資分野はプラットフォームとパートナー支援で、ここに差別化の源泉を置いています。同社は2020年に技術・プロダクト・データの組織を統合し、ブランド共通の基盤を構築することで規模の経済を追求しています。例としてBrand Expediaのフロントエンド統合はHotels.comを2022年に、Vrboを2023年に順次移行済みで、これにより開発速度や運用効率を高めています。またB2B向けにはRapid APIやExpedia TAAPなどの商材を提供し、ホテル向けの「ダイレクトコネクト」や卸売向けの最適流通ツールで供給側との関係構築を強化しているため、供給量の広さと技術で競合と差別化を図っています。

新市場開拓や事業拡大では、国際市場とB2B領域を重点にしています。同社はアジア太平洋地域を含む国際需要の回復がB2Bの総予約を押し上げたとし、今後も現地ごとの市場機会に応じてブランド別の投資配分を最適化する方針です。加えて共通基盤を外部パートナーや代理店向けに汎用的なサービスとして提供することで、社内ブランド以外の収益機会(例えばホワイトラベルや技術サービスの拡大)を開く計画を掲げています。旅行関連の広告やメディア事業も含め、既存の供給・流通ネットワークを生かした収益拡大を狙っています。

技術革新への取り組みは経営戦略の中心で、開発体制・運用・セキュリティの4点セットで投資を続けています。同社は共通プラットフォーム上で「設定可能な技術機能」を作り、標準化したアーキテクチャで機能を速く出せる体制を目指しています。また顧客対応では24時間体制のサポートをAIや仮想エージェントと組み合わせて効率化し、コンタクトセンター技術にも投資しています。サイバーセキュリティ面では最高セキュリティ責任者(CSO)が監督し、取締役会の監査委員会に定期報告する体制を整え、第三者評価や脆弱性テストを含む継続的な見直しを行っている点も明記されています。