EXPAND ENERGY CorpEXE

時価総額
$272.7億
PER
天然ガス・原油の探鉱・生産の米国最大手。約8,000井の権益とシェール資産に基づく集荷・販売ネットワークを展開。2024年10月1日のSouthwestern合併、2022年3月9日の約27.7億ドルのMarcellus買収を実行。ルイジアナ・ペンシルベニア・ウェストバージニア・オハイオ中心の米国内展開。

事業内容

EXPAND ENERGY Corpは、米国を拠点とする独立系エネルギー会社で、天然ガス、石油、天然ガス液体(NGL)の探査・開発・生産を中心に事業を展開しています。主力サービスはシェール層での掘削と生産管理で、安定的かつ責任ある供給を通じて市場にエネルギーを届けています。

同社の収益は基本的に自社生産物の販売から発生しており、価格は公開指標に連動する契約や日々のスポット取引を組み合わせて受け取っています。顧客はパイプライン事業者や大口の燃料購入者が中心で、販売量をまとめてより信用力のある買い手を引きつけるマーケティング業務も行っています。また、直近の年度では単一の買い手が売上の10%以上を占めていません。

事業は大きく探査・生産、中流の販売・マーケティング、油田サービスの三つのセグメントで構成しています。探査・生産では主要なシェール資産を開発し、中流では集荷・処理・輸送契約を通じて販売の価値を高め、油田サービスでは自社の掘削リグや関連サービスを活用して運用効率を高めています。

経営方針

同社は買収と資本効率を両輪に、株主価値の拡大をめざしています。2024年のSouthwestern合併で天然ガスの生産基盤を大幅に拡充し、現在は米国で最大級の独立系天然ガス生産者として、需要の高い地域(ハインズビル、マーセラス、ユーティカ等)に近接する資産を保有しています。財務面では取締役会が2024年10月に総額10億ドルの自社株買い枠を承認し、2025年は一株当たりの基礎配当を2.30ドルに優先配分、加えて当面の目標として年間5億ドルの純負債削減を掲げています。これらが達成された後は、残余のフリーキャッシュフローの75%を市場環境に応じて自社株買いや追加配当に充てる方針です。

重点投資分野は上流の高収益プロジェクトと環境影響低減の両立です。同社は資本を「最も現金収益率の高いプロジェクト」に配分すると明言しており、掘削や完成工事における先端技術の導入で生産コストと回収期間の短縮を図っています。上流の垂直統合(自社で掘削リグや油田サービスを保有)によりサービス調達の安定化とコスト競争力を確保している点も差別化要素です。一方で環境面では、スコープ1・2排出を2035年までにネットゼロにする目標や、ポートフォリオ全体で「責任ある供給ガス(RSG)」認証を100%維持する方針を掲げ、ESG対応を投資判断に組み込んでいます。

新市場開拓や事業拡大については、海外需要へつなぐ出口戦略とミッドストリーム整備を並行して進めています。LNGの長期契約では、Delfin LNGから年約0.5百万トンをヘンリーハブ価格に連動して2028年開始で調達し、Gunvor向けに日本・韓国市場価格に連動した条件で20年間販売する契約を締結しています。国内ではMomentum Sustainable Venturesとの合弁で海岸側市場への再供給を見据えた集積パイプライン(初期1.7 Bcf/日、将来2.2 Bcf/日へ拡張)と、年間約100万トンのCO2回収を想定したCCUS(CO2回収・貯蔵)プロジェクトに資本を投入しており、2025年末の運転開始を目指してこれまでに約2.96億ドルを出資しています。

技術革新への取り組みは収益性と環境対策の双方を支える柱です。同社は掘削・完成技術の展開で単位当たり生産コストを下げ、運用効率を高めることを重視しています。同時にパイプラインやCCUSプロジェクトなどミッドストリーム領域での技術投資を通じて、輸出や市場アクセスの拡大、温室効果ガス排出低減に直接寄与する構造を構築しています。投資家にとっては、資本配分の明確化(配当・負債削減・自社株買い)と、成長を支える収益性重視のプロジェクト選定、そして環境面での定量目標が同社の戦略の骨子であると理解できます。