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European Wax Center, Inc.EWCZ
事業内容
European Wax Center, Inc.は店舗型のワックス脱毛サービスを主力とする企業で、全米にフランチャイズ中心のセンターネットワークを展開しています。店舗では独自のComfort Waxを使った体・顔のワックス脱毛を提供し、施術前後のケア製品も自社ブランドで販売しています。
同社の主要顧客は定期的に来店する個人消費者(主に女性)で、リピーターが収益の核になっています。収益はサロンでの施術売上と小売商品の販売、そしてフランチャイズの初期ライセンス料や売上に連動するロイヤルティおよび加盟店が拠出する中央マーケティング基金によって構成されています。
事業は大きく店舗型サービスと小売製品に分かれ、店舗ではボディやフェイシャルの各種ワックスメニューを展開し、関連する前後ケア製品も取り揃えています。小売品は約39種類のフルサイズSKUを有し、北米の共同製造業者と連携して生産を管理しつつ、処方は同社が所有して新製品開発を主導しています。
経営方針
同社は長期的な成長をフランチャイズ中心の出店と既存店の売上拡大で実現することを目指しています。具体的には、ネットワークの「ホワイトスペース(未開拓領域)」を活用して新規フランチャイズセンターを開設し、既存センターの客数と客単価を高めることでシステムワイド売上(過去には年約900〜950百万ドル規模)を拡大する方針です。ただし短期的にはフランチャイジーの新規出店が一時的に停滞しており、同社自身も2025年は新規開業があっても閉店がそれを上回る見込みであると明示しているため、まずは既存店の収益性改善を優先しています。
同社は資本効率の高い「資産軽量型」フランチャイズモデルを差別化の柱としています。センターは比較的低い初期投資で開業でき、フランチャイズ手数料やロイヤリティ(売上の6.0%)で収益化する仕組みです。ブランド面ではワックス専門のサービスや独自の「Comfort Wax」など自社処方の製品群、そして定着率の高い技術者育成により品質を維持しており、2024年にはWax Pass(定額会員)が取引の約60%を占めるなど会員型の収益基盤構築にも成功しています。加えて、管理体制と開示体制の強化や社内インフラ投資を進め、内部統制の脆弱性を是正して事業拡大に耐えうる組織基盤を整備しています。
新市場開拓と事業拡大については、既存出店エリア内での追加出店を中心に慎重かつ利益重視の開発を行う計画です。同社は過去のデータから新規センターが成熟するまで約5年かかるとし、2025年時点で約65%のセンターが成熟期にあるとしています。フランチャイジーとの協業でマルチユニット開発者を育成し、中央のマーケティング基金を通じてブランド認知と来店導線を強化する一方で、短期的には既存店のトランザクション回復と単位経済の改善を優先してネット成長を安定化させる方針です。
技術革新にはデータ主導のマーケティングと顧客体験の改善を中心に投資しています。具体的にはウェブサイトやモバイルアプリの予約導線改善、デジタル広告中心のパフォーマンスマーケティング(2024年の中央マーケティング費用は約3,200万ドルでデジタル比率63%)の強化、メールやライフサイクル型のパーソナライズ施策によるリテンション向上に取り組んでいます。また内部データ分析ツールの精度向上と第三者評価によるセキュリティ対策の実施を重ね、マーケティング投資の効果測定と運営の再現性を高めることで、将来的な成長投資の効率化を図っています。