Eaton Corp plcETN

時価総額
$1284.2億
PER
電力管理・電気部品、航空・車載システムのメーカーの最大手。UPSや電力分配装置、航空用燃料・油圧システム、EV向け接続部品を展開。2022年1月の接続部品企業買収(610百万ドル)や2024年5月の熱監視企業買収のM&A実績。2024年売上高約250億ドル、160カ国超展開。

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企業概況
112文字)
業績概況
テーマ
3項目)
ブランド
ライバル企業
2社)
同業種の日本企業
1社)

事業内容

Eaton Corp plcはインテリジェントな電力管理を手掛ける企業で、データセンターや電力会社、産業施設、商業・住宅、航空機、そして自動車向けに電力関連の機器やシステムを製造・販売しています。主力製品は電力分配装置や電力品質改善機器、配線・回路保護製品のほか、航空用の油圧・燃料システムや車両向けの駆動・燃費改善部品などです。

主要な顧客は機器メーカー(OEM)、電力会社、工場や商業施設、データセンター、航空宇宙・防衛分野のメーカーやアフターマーケットです。販売は直販に加え、ディストリビュータや販売代理店、リセラー経由で行い、長期契約や購入注文による受注も多く、地域ごとに幅広い顧客基盤を持っているため特定顧客への依存度は低くなっています。

同社は事業を複数のセグメントで展開しており、電気部門は北米向けとそれ以外の地域向けに電力分配、電力品質、配線・安全機器とサービスを提供しています。航空部門は航空機向けの燃料・油圧・空気系統やろ過製品を扱い、車両およびeMobility(電動化)部門は内燃機関車向けの駆動系や燃費改善部品、電動車向けの高電圧インバーターや電力管理部品などを提供しています。

経営方針

同社はエネルギー転換、電化、デジタル化という長期のメガトレンドを取り込み、持続的な売上成長とマージン改善を目指しています。2024年の売上高は約250億ドルに達し、電気関連の米州事業では売上の有機成長が13%となる一方で、営業利益率は2023年の26.5%から30.2%に改善しました。こうした業績はデータセンターや公益事業、商業・産業分野の需要強化が背景にあり、電気関連の米州での受注残(バックログ)は約101億ドルと前年から28%増加している点も成長の裏付けです。

同社は重点投資分野としてデータセンター、公益(ユーティリティ)、航空宇宙、eMobility(電動車両向け部品)および産業向け製品を掲げており、これらを通じて競合他社と差別化を図っています。差別化の手段としては、電力の供給から配分、機器保守や後付けのアフターサービスに至る「バリューチェーン全体」を提供する製品群と、現地の流通網やOEM向けの長期契約を活用しています。具体的施策としては2022年のRoyal Power Solutions買収(買収金額610百万ドル)や2024年の小規模買収(約50百万ドル)、製造効率化や設備売却による利益改善を実行しています。

新市場開拓や事業拡大では、地域的にはアジア太平洋や欧州での伸びを重視しており、中国の回路遮断器や変圧器事業への出資(江蘇系企業への出資比率50%/49%)など現地パートナーとの戦略的提携を進めています。航空宇宙セグメントのバックログは約37億ドルで前年から15%増加しており、商用機やミリタリー向けの受注も好調です。資本配分面では、2024年に公開買付で約78万株(総額約25億ドル)を買い戻すなど株主還元を実行しつつ、取締役会は2025年に最大90億ドルの買戻し枠を承認しており、M&Aと自社株買いを両輪で成長資金を配分する方針です。

技術革新への取り組みでは、同社は高電圧インバータ、コンバータ、電力保護機器、熱監視や接続部品といったコア技術への投資を強化しています。製品面ではeMobility向けの電力電子やヒューズ・配電ユニット、航空宇宙向けの油圧・燃料制御システムなどを拡充しており、買収による技術獲得(Royal Power Solutions、Exertherm等)と社内の製造効率化で、eMobility部門の営業損失率は2023年の‑3.2%から2024年は‑1.0%へと改善しました。加えてデジタル化やサービス化を通じてデータセンターや公益事業向けの付加価値提供を進め、長期的な競争優位の構築を目指しています。