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ELBIT SYSTEMS LTDESLT
事業内容
Elbit Systems Ltdはイスラエルを拠点とする防衛・安全技術の総合企業で、航空機や無人機、各種センサー、電子戦装置、訓練用シミュレーターなどハードとソフトを組み合わせたシステムを開発・製造・納入しています。複数の装備や情報システムを統合した「システム・オブ・システム」型の提案を行い、デジタル技術や自律化も取り入れたソリューションを提供しています。
同社の主要顧客はイスラエル国防省と米国政府で、これらが近年の売上に占める割合が大きくなっています。さらに各国の政府機関や企業と直接契約するほか、子会社や合弁、現地パートナーを通じて納入し、保守・訓練・ロジスティクスなどのアフターサービスでも収益を得ています。
事業は複数のセグメントで構成され、代表的なものに航空機・無人機関連の「航空」、指揮・通信・情報・サイバー関連の「C4I/サイバー」、光学や電子戦・情報収集を扱う「ISTAR/電子戦」があります。各セグメントは機体・センサー・通信網・電子装置に加え、訓練や保守を組み合わせた統合ソリューションを顧客の要求に合わせて設計・展開しています。
経営方針
同社は中期的に売上とポートフォリオの拡大を両輪で進める成長戦略を掲げています。近年の受注増加を背景に製造能力を増強し、受注残の拡大を活かして事業規模を拡大することを目指しています。具体的には、欧州向け装甲車システムで3億ドル規模の受注、オーストラリアのLand 400フェーズ3向けに約6億ドル、対内外向け弾薬群で約7.6億ドル、IMOD向け新製造拠点での弾薬供給約3.4億ドルといった大型契約を受注しており、また産業参加(オフセット)義務として約25億ドルが2033年まで残っているため、これらを見据えた計画的な売上拡大と資源配分を行っています。
同社は重点投資分野として無人機、監視・センサー系、通信・サイバー、弾薬・火力および車両防護といった分野を挙げ、技術と製品群を組み合わせた総合ソリューションで差別化を図っています。差別化手段としては、自社でセンシング、指揮統制、発射システムを統合し「複合的に動作する仕組み」を提供することで単体製品との差別化を図っており、IRON FIST 自動防護装置の米陸軍向けアップグレード(約1.27億ドル)やPULS/Hermes 900の欧州供給(約3.35億ドル)など、統合性と実戦での実績を武器に受注を拡大しています。
新市場開拓と事業拡大では、現地生産・現地協力を重視する方針を打ち出しています。同社は現地子会社や提携先を通じて米国、欧州、豪州などでの商談・納入体制を強化しており、2023年に米国・英国・ドイツの拠点整備、2024年にイスラエルでのUAV新工場開設、さらにラマト・ベーカでの新弾薬生産拠点建設など具体的投資を進めています。政府の現地化方針や防衛予算増に対応してローカルサプライチェーンを構築し、長期契約と産業参加義務の遂行を通じて新規市場でのポジション確立を目指しています。
技術革新への取り組みとしては、研究開発投資を重視し、売上の相当割合をR&Dに充てて知的財産の蓄積と製品間の相乗効果を追求しています。開発だけでなく製造面では自動化や追加雇用・多交代制の導入、高度なERPやCRMの導入による運用効率化を進めており、サイバー防御強化や品質認証(例:米子会社のISO‑13485/FDA適合)といった信頼性確保にも注力しています。これらの施策により、短納期要求やプロトタイプの提示が求められる競争環境で迅速に提案・量産へ移行することを狙っています。