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事業内容
EQT Corporationは、アパラチア盆地を中心に天然ガスの探査・生産から集荷、処理、長距離輸送までを一貫して手掛けるエネルギー会社です。同社は天然ガスとNGL(天然ガス液)、石油の生産と販売を主力とし、自前のパイプライン網や処理設備を使って供給の安定化と効率化を図っています。
顧客は発電会社、LNG輸出業者、大口の産業ユーザーやガス販売業者が中心で、同社は生産した資源の販売収入とパイプラインや集荷・処理サービスの手数料・マーケティング収入の二本柱で収益を上げています。同社は上流と中流を持つ統合モデルにより、価格変動時のリスク管理や安定的なキャッシュフロー確保に重点を置いています。
事業は主に上流の生産セグメント、集荷・処理を担当するギャザリングセグメント、そして長距離輸送を担うトランスミッション(パイプライン)セグメントに分かれています。同社は複数井戸をまとめて効率的に掘る「コンボ開発」などでコスト低減を図る一方、パイプラインや中流サービスからの安定的な手数料収入で事業の耐久性を高めています。
経営方針
同社は長期的に「低コストで安定した天然ガス生産者」であることを目指しています。2025年の総資本支出は約23〜25億ドルを見込み、うち留保開発(埋蔵量開発)に約14.45〜15.55億ドルを配分する計画です。2024年の営業による純キャッシュは28億ドルを計上しており、配当(2024年は約3.27億ドル)や株式買戻し(最大20億ドルの枠)を通じて株主還元を継続しつつ、レバレッジ低減を重視して2025年末に債務残高を75億ドルまで削減することを目標に掲げ、長期的には50億ドルを目指すとしています。2025年の販売量見通しは2,175〜2,275 Bcfe(天然ガス換算)です。
同社は資本配分の重点を明確にして差別化を図っています。主要投資分野としては埋蔵量開発に加え、集荷・輸送などの中流(ミッドストリーム)インフラに合計で約3.6〜3.9億ドルを割り当て、土地・リース取得に1.6〜1.8億ドル、送配(トランスミッション)に0.5〜0.6億ドルを見込んでいます。さらに戦略的成長プロジェクトに約3.5〜3.8億ドルを充当し、その内訳には水インフラ整備に約0.85〜0.95億ドル、集荷の成長案件に約1.30〜1.40億ドル、インフィルリース(既存圏内の追加リース)に約1.35〜1.45億ドルを予定しています。広大で連続した約210万エーカーの資産と2,925マイルに及ぶパイプライン網を保有する点を活かし、同社は「コンボ開発」と呼ぶ複数のマルチ井戸パッドを同時に展開する手法で掘削コストを下げ、ミッドストリーム資産の年金的な収益で変動を緩和することを差別化要因としています。
事業拡大については、買収・合併や合弁を通じた規模拡大を積極的に進めています。2024年にはEquitrans Midstreamの買収を完了し、中流資産の統合や11月のミッドストリーム・ジョイントベンチャー設立などで事業ポートフォリオを再編しました。これらの戦略的取引は資産の一体運用や発展を狙う一方で、買収資産の統合遅延や法的リスクが生じる可能性があることも同社は認識しており、学習とリスク管理を織り込んだ実行を重視しています。加えて、中流資産の持分やパイプライン(例えばMountain Valley Pipeline)への関与を通じて、電力やLNGといった需要増に対する供給対応力を高める姿勢です。
技術革新とリスク管理にも力を入れており、同社はデジタル作業環境やESGデータの収集・分析を通じて運用効率と透明性を高めることを目指しています。現場では天然ガスを動力とする電動化技術を含む環境配慮型の破砕(フラッキング)や、淡水とリサイクル水の供給網整備に投資しており、水インフラに対する具体的投資額(約8,500万〜9,500万ドル)も計画に組み込まれています。サイバーセキュリティは経営陣が監督する主要リスク(Tier 1)に位置づけられており、企業リスク委員会と取締役会の監督のもとで対策を強化しています。これらにより「ステークホルダーに選ばれる操業者(operator of choice)」を目指しています。