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EPR PROPERTIESEPR
事業内容
EPR PROPERTIESは米国拠点の不動産投資信託で、体験型(エンターテインメント)と教育関連の不動産に特化しています。同社は映画館や家族向けの娯楽施設、ゴルフ型複合施設、テーマパーク、スキー場、体験型宿泊などの物件を取得・開発し、建設から恒久融資まで一括で行うことも含めた長期的な賃貸や融資を行っています。
同社の主要な顧客は映画館運営会社やゴルフエンタメ運営、ファミリーエンタメやアトラクション運営会社などの体験型オペレーターです。収益は主に長期のトリプルネットリースからの賃料と、モーゲージノートなどの貸付からの利息で成り立ち、一部の大口テナントに収益が偏ることを踏まえたリスク管理を行っています。
事業は大きく体験型と教育セグメントに分かれ、具体的には映画館、飲食と遊戯を組み合わせた複合施設、家族向け施設、ウォーターパークや遊園地といったアトラクション、スキーリゾート、体験型宿泊、さらにはフィットネスや文化施設、教育施設などのラインで構成しています。これらは所有による賃貸、貸付(モーゲージ)、共同投資や再開発、場合によっては物件売却を組み合わせて運営し、ポートフォリオの多様化と収益性の最適化を図っています。
経営方針
同社は株主価値の向上を目指しており、その手段として「予測可能で増加するFFOAA(調整後営業資金)と1株当たり配当」の実現を掲げています。具体的には2024年度の総収入は約6億9,810万ドル、FFOAAは希薄化後で1株当たり4.87ドル(前年は5.18ドル)という実績があり、総資産は約56億ドルです。直近の高い資本コストを踏まえ、当面は投資を抑えめにして現金・運転資金・資産売却収入・無担保リボ枠を主な資金源としながら、ネット有利子負債/調整後EBITDAreなど保守的なレバレッジ水準を維持する方針です。普通株は月次配当を継続予定で、優先株はシリーズC・E・Gでそれぞれ5.75%、9.00%、5.75%の配当率となっています。
同社は投資の重点を「経験型」施設に置いており、ゴルフ型エンタメ、ファミリーエンタメ、アトラクション、スキー施設、体験型宿泊、教育施設など多様な物件群を保有・融資しています。差別化策として、長期のトリプルネットリースやビルド・トゥ・スーツを含む一貫した融資体制を提供し、借入コストと賃料・利息の間に安定した利ザヤを確保するよう契約構造を設計しています。主要テナントとの複数物件取引やクロスデフォルト条項の活用により信用管理と収益安定化を図っており、TopgolfやAndretti、映画館大手(AMCやRegal)など大口顧客が収入の重要な割合を占めている点も特徴です。ただし映画館分野への新規投資は大幅に抑え、ポートフォリオの分散化を進める方針です。
同社は新市場開拓と事業拡大において既存資産の再開発や余剰地の活用を積極的に検討しています。具体策としては、保有劇場を核にしたエンターテインメント地区の開発、収益性の高い物件でのリニューアル、賃貸更新や新テナントを契機とした再開発を挙げています。成長資金は自社単独だけでなく機関投資家やデベロッパーとのジョイントベンチャーによる共同投資や、必要に応じて有担保の物件レベル融資を組み合わせる計画で、条件が合えば公募やDSPプラン(配当再投資・直接購入)による株式調達も選択肢としています。パイプラインは選別基準を重視し、機会があれば物件売却で資本を再配分する方針です。
同社は技術面でも顧客体験と運用効率の向上に取り組んでいます。映画館では予約座席やラグジュアリー席、飲食サービス強化や決済の効率化といった設備・システム投資が進められており、Andrettiのような没入型ゲームや電動カートなど新しい体験を提供する施設への投資も増えています。スキー施設では安定的な営業を支える造雪技術を重視しており、社内的にも人材育成や業務支援のためのITツールや分析基盤への投資を進めることで、資産運用やリーシングの意思決定をデータで支える体制を整えています。