EnLink Midstream, LLCENLC

時価総額
$68.2億
PER
天然ガス・NGL・原油のミッドストリーム事業の大手。集荷・処理・分別・長距離輸送・貯蔵の中核インフラを展開。22年7月のバーンネット買収で総額289.5百万ドルの支払い。テキサス(パーミアン・北部)・ルイジアナ・オクラホマを中心の事業基盤。

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事業内容

EnLink Midstream, LLCは、天然資源の中間段階を担うインフラを開発・保有・運営し、採掘地から市場までの輸送や処理を行う企業です。同社は天然ガスの集荷や処理、天然ガス液の分別、長距離輸送、貯蔵、原油やコンデンセートの取り扱いなどのサービスを提供しています。

同社の主要顧客は資源生産者や製油所、化学メーカー、輸出業者などで、MarathonやDowといった大口顧客が売上の大きな割合を占めています。収益は主に契約に基づく手数料型が中心で、一部は商品を買って売ることによるマージンで稼いでおり、手数料契約が安定した収入源になっています。

事業は地理的なセグメントごとに運営しており、ペルミアンやルイジアナ、オクラホマ、北テキサスといった主要生産地でパイプラインや処理設備、ターミナルを展開しています。コーポレート部門では共同事業や管理資産を扱い、近年は沿岸部での二酸化炭素輸送(CCS)事業にも注力して事業の多様化を図っています。

経営方針

同社は堅実な成長と財務の健全化を両立させることを目指しています。具体的には、営業キャッシュフローの最大化とバランスの取れた資本配分を優先し、重要な経営指標を業績評価に組み込んでいます。たとえば短期インセンティブでは調整後EBITDAが最重要項目で全体の55%のウエイトを占め、閾値は12億5,100万ドル、目標は13億8,200万ドル、最大は15億7,400万ドルと設定されています。ディストリビュータブル・キャッシュフロー(DCF)にもウエイトが割かれており、閾値は8億100万ドル、目標は9億3,200万ドル、最大は11億2,300万ドルです。これらの数値目標を通じてキャッシュ創出力と財務柔軟性の強化を図っています。

重点投資分野は天然ガスやNGL(天然ガス液)の集積・処理・輸送・貯蔵と、新興の二酸化炭素輸送(CCS)ビジネスです。差別化の柱は既存のパイプラインネットワークと顧客基盤を活かした統合サービスであり、契約ベースの手数料収入や購入・再販売によるマージンで収益を確保しています。近年の買収もその戦略の一環で、Barnett Shaleの買収では取得対価が2億7,500万ドル(運転資本含め約2億8,950万ドル)で処理能力425百万立方フィート/日を取り込み、Central Oklahomaでは約9,580万ドル(運転資本約5.1百万ドル)といった投資を通じて基盤を拡大しています。これらにより地域ごとの供給確保と収益性向上を図っています。

新市場開拓では、同社は沿岸地域、とくにルイジアナのミシシッピ川工業回廊沿いを重点にCCSの輸送インフラ構築を進め、ガルフコーストの輸送網を拡張して輸出や大口需要家への接続を強化することを目指しています。事業拡大は有機的なネットワーク増強と機会があれば選択的な買収の組合せで行い、既存のパイプラインや施設を活用して接続拡大やフラクショネーション(分別処理)能力の強化を進める計画です。これにより、供給側の掘削活動に伴う増量を取り込み、長期的な契約や最小保証(MVC)を通じて投資回収を確保しようとしています。

技術革新への取り組みは運用効率と安全性の向上を通じた収益拡大が目的です。同社は「運用の卓越性」を掲げ、遠隔監視や自動化による稼働率向上、予防保全の導入、排出量・安全性のモニタリング強化といった施策に投資しています。経営側のインセンティブ設計もこれに連動しており、運用指標と安全・持続可能性が短期賞与でそれぞれ15%のウエイトを占め、資本プロジェクトの適時・コスト管理も5%の評価項目になっています。長期的には役員報酬のうち約80%を業績連動にしており、株主価値(相対的株主総利回り:TSR)を重視する比率は近年で70%、キャッシュフロー重視を30%とするなど、技術投資と経営者の利害を一致させる仕組みを取っています。