EASTMAN CHEMICAL COEMN

時価総額
$64.7億
PER
特殊素材・化学品の大手。分子レベルで難分解プラスチックを原料化し、食用品級ポリエステルの「Renew」ブランドを展開。GHG削減効果は最大90%、2024年に世界最大級の分子リサイクル設備稼働と米DOEから最大3.75億ドル支援に選定。北米を中心に36製造拠点と12カ国で展開。

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企業概況
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業績概況
テーマ
ブランド
6項目)
ライバル企業
5社)
同業種の日本企業
3社)

事業内容

Eastman Chemical Companyはグローバルなスペシャリティ材料メーカーで、日用品や自動車、建設、医療向けの高機能プラスチック、フィルム、繊維、化学中間体を製造しています。同社は分子レベルで廃プラスチックを再生する循環型経済プラットフォームを持ち、食品接触基準に適合する再生ポリエステルなどサステナブルな代替品も生産しています。

主要顧客は自動車メーカーや建築・窓関連、包装・消費財メーカー、医療・ヘルスケア企業などで、同社は用途に合わせた高付加価値製品を直接販売しています。収益は長期取引や大口顧客との安定した契約に支えられ、高マージンの特殊材料や再生製品が利益の重要な柱になっています。

事業は四つのセグメント(高機能素材=Advanced Materials、添加剤・機能製品=Additives & Functional Products、化学中間体=Chemical Intermediates、繊維=Fibers)で運営しており、同社は各セグメントでポリマーや性能フィルム、添加剤、原料化学品、各種繊維を展開しています。具体例としては食品容器向けの高耐久プラスチックや窓・自動車向けの機能フィルム、音響用中間層材、そして「Renew」ブランドの分子再生ポリエステルなどがあり、技術開発と製造の統合で差別化を図っています。

経営方針

同社はグローバルな専門素材企業への転換を進めるとともに、強固な財務体質の維持を目指しています。資本支出は成長投資と基盤整備に重点を置いており、2025年の投資予算は約7億〜8億米ドルを見込んでいます。株主還元も重要な戦略で、2021年に設定した最大25億ドルの自社株買い枠の下で2024年末までに約11.6百万株、約11億ドルを買い戻しており、配当は2024年通期で1株当たり約3.26ドルを支払っています。こうした方針は、投資適格格付けの維持と成長機会をバランスさせることを目的としています。

同社は成長投資の中でも分子レベルのプラスチックリサイクル(メタノリシス)や高付加価値の特殊素材に重点を置いて差別化を図っています。メタノリシス技術は廃プラスチックを分解して食品対応のポリエステルなどに再生するもので、化石原料由来品と比べて温室効果ガスを最大で約90%削減できるとし、「Renew」ブランドで製品化しています。加えて、自社の応用開発力や垂直統合された生産体制を活かし、耐熱樹脂や自動車用中間膜などの高付加価値製品で価格競争ではなく性能と用途提案で競合と差別化しています。研究開発への投資も増加傾向にあり、2024年のR&D費用は約2.5億ドルで前年から増えています。

新市場開拓と事業ポートフォリオの最適化にも積極的です。政府支援を受けた事業化が進んでおり、米国エネルギー省との協力によりロンヴュー(テキサス)での世界規模のメタノリシス設備に最大3.75億ドルの支援が想定されるなど、分子リサイクルの拡大を通じて北米をはじめとする主要市場でのプレゼンスを高める計画です。併せて、収益性や戦略適合性を勘案した事業売却・買収も行っており、近年は一部事業の売却で資金を調達する一方、成長分野への投資に資金を振り向けています。

同社は技術革新を経営の中核に位置付け、リサイクル技術や素材設計の強化を図っています。分子リサイクルは単に原料を再利用するだけでなく、既存の製品に「置き換え可能」な高品質材料を供給する点で差別化されており、これにより顧客の環境目標達成を直接支援しています。加えて、製造拠点の近代化やプロセス改善にも資本を投じ、製品の高付加価値化と同時にコスト管理や供給安定性の向上を目指しています。