同社は会員基盤の拡大を中核に据え、長期的な成長と株主還元を両立することを目指しています。2024年末時点で医療会員は約4,570万人に達しており、今後も個人・法人・メディケイド・メディケアといった複数市場でのシェア拡大を図る方針です。資本配分では、配当を継続しつつ自社株買いにも積極的で、2024年は約666万株を総額2,900百万ドルで買い戻し、同年10月には自社株買い枠を8,000百万ドル増額しました。財務の健全性も重視しており、2024年末の負債比率（負債÷（負債＋自己資本））は43.0%でした。

同社は差別化のために医療保険本体（Health Benefits）だけでなく、調剤やサービス部門（CarelonRx、Carelon Services、Carelon Insights）へ重点投資しています。2024年の買収配分では、Carelon Servicesに2,641百万ドル、CarelonRxに1,594百万ドル、Health Benefitsに1,129百万ドルを割り当てるなど、サービスと薬局領域の強化に資金を振り向けています。さらに、親会社で利用可能な現預金は2,357百万ドルを確保しており、ネットワーク整備や付加価値サービス、価値に基づく支払いモデルの導入で他社と差異化しています。

新市場開拓と事業拡大は買収と提携を通じて推進されています。2024年は合計で約5,128百万ドルの現金考慮で複数の事業買収を完了し、在宅や地域密着型の長期支援サービス（CareBridge）、ニューヨーク州の長期ケアプラン（Centers）、点滴や注射剤のオムニチャネル供給（Paragon）など、メディケイドやデュアル資格者向けサービスを強化しました。これらは低コストでのケア提供や在宅ケアの拡充を通じて会員維持率向上と新規会員獲得につなげる狙いです。

技術革新ではデータとデジタルを核にサービス改善を図っています。Carelon InsightsやHealthOSを通じて支払いの適正化、臨床データの連携、分析レポートや臨床解析を提供し、保険料設定や医療管理に予測モデルを活用しています。CMSのスター評価がメディケア報酬に直結するため、品質評価の改善とデジタル化で業務効率と顧客体験の両立を目指しており、販売・流通面でもデジタルチャネルの強化を進めています。

	2011/12	2014/12	2015/12	2016/12	2017/12	2018/12	2019/12	2020/12	2021/12	2022/12
ROA	5.2	4.2	4.1	3.9	5.7	5.3	6.5	5.6	6.6	6
ROE（％）

Elevance Health, Inc.ELV