EQUITY LIFESTYLE PROPERTIES INCELS

時価総額
$119.9億
PER
RVコミュニティ・製造住宅地・マリーナ運営の米国大手。RVコミュニティや製造住宅、マリーナの管理運営を展開。過去3年で7物件・6区画(約146エーカー)買収。2024年12月時点で452物件・約173,200サイトを米国で展開。

事業内容

EQUITY LIFESTYLE PROPERTIES INCは、米国を中心に製造住宅(モバイルホーム)コミュニティ、RV(キャンピングカー)コミュニティ、マリーナなどの不動産を所有・運営する不動産投資信託です。同社は居住・宿泊用のサイトやスリップ(係留場所)を貸し出し、敷地内の管理や共用施設の運営を通じて顧客に居住・レジャーの場を提供しています。

主な顧客は自宅を所有する居住者、年間・季節利用のRV利用者、そしてボート所有者や訪問客で、収益はサイト賃料、短期利用料、マリーナ料金、敷地内サービスやホーム販売などの付帯収入から成り立っています。同社は高い占有率とサイト数の拡大、物件ごとの安定的な現金収入を通じて配当や成長の原資を確保しています。

事業は大きく製造住宅、RVコミュニティ、マリーナの三つに分かれており、各セグメントでオンサイト管理やメンテナンス、レジャー施設やイベントなどの付加価値サービスを提供しています。加えて隣接地の開発や土地取得によるサイト増加、環境配慮や従業員育成への投資を通じて資産価値と顧客満足を高めることに注力しています。

経営方針

同社は安定した資本生成と株主還元の両立を成長戦略の柱に据えています。具体的には、2024年の1株当たりFFO(不動産事業での現金創出力)は3.03ドルで前年から9.5%増、正味ベースのFFOも2.91ドルで5.9%増、希薄化後の1株当たり当期純利益は1.96ドルで16.0%増と着実な増収を実現しました。配当も2024年に年間1株当たり1.91ドルへ6.7%引き上げており、同社は継続的な配当拡大とFFO成長を両立することを目指しています。財務面では2024年末時点で負債の対時価資本比率が約19.5%と抑制されており、500百万ドルのコミットメント型与信枠の延長や株式のATM(上場随時公募)で最大7億ドル規模の調達枠を確保するなど、成長投資のための資金余力を維持しています。

同社は製造住宅(MH)、RVコミュニティ、マリーナというライフスタイル志向の不動産に重点投資しています。2024年時点で保有物件は452件、約173,200サイトに達しており、物件の立地は退職・レジャー需要や都市近郊を狙っています。差別化は「規模と現場経営力」による運営効率と顧客体験の向上にあります。各物件に配置されたオンサイトチームと社内で統括する運営体制により、施設の稼働率維持や家賃設定、アメニティ提供で優位性を保ち、新築住宅販売(2024年は756戸)や会員制のアップグレード(繰延収益は約2.18億ドル)といった収益多様化も進めています。加えて約123物件で約6,300エーカーの開発余地があり、拡張によるサイト増加で価値創出を図っています。

新規市場開拓と事業拡大では「買収+既存地の拡張」を組み合わせた戦略を取っています。断片化した市場(北米におけるMHやRV、マリーナの多くは小規模オーナーが運営)をターゲットに、過去数年で取得した物件や隣接地を活用して密度を高めることで収益性を引き上げています。近年は3年間で7物件と6区画、約146エーカーを取得するなど実績があり、2024年だけで拡張サイトを736サイト追加しました。買収資金は未配分のFFO、担保付き・無担保借入、ATMによる株式発行、場合によっては事業パートナーやOPユニット(営業用持分)を用いる柔軟な資本政策で賄い、非中核資産の売却で資本配分を最適化する方針です。

技術革新への取り組みとしては、顧客向け予約システムや入居者向けの利便性向上ツール、取得候補を評価する市場データベースの活用などでデジタル化を推進しています。具体的には予約や顧客体験を改善するユーザーインターフェースの整備や、物件収益性を把握するための分析システムの導入に投資しています。また、サステナビリティ技術の導入にも取り組んでおり、敷地内の再生可能エネルギーや省資源・省エネ施策、ENERGY STAR認定の住宅採用などを通じて運用面の効率化と環境負荷低減を図っています。一方で技術導入はサイバーリスクやプラットフォーム移行のコストを伴うため、同社は内部統制(COSO基準に基づく)や監査体制を整備しつつ段階的に実装を進めています。