ENCORE CAPITAL GROUP INCECPG

時価総額
$11.5億
PER
債務回収サービスの米国最大手。買い取り型の債権購入と高度なデータ分析による回収モデルを展開。2022年に約8,690万ドルで1,497,184株を自己株買い。米国・英国を中心に欧州、スペイン、フランス、インド、メキシコで展開。

事業内容

ENCORE CAPITAL GROUP INCは、主に返済が滞った消費者向けの債権を割安で買い取り、その回収と管理を行う専門金融会社です。買い取った債権については電話や郵送、デジタル手段などで債務者と直接交渉して回収し、欧州では貸し手向けの債務管理や代行サービスも手がけています。

主要な顧客は銀行、信用組合、消費者金融、商業小売業者や一部の公的機関で、彼らは不良債権を流動化して現金化するために債権を売却します。同社の収益は、割安で買い取った債権から得られる回収金と、欧州で提供する債務管理や代行の手数料が中心で、購入価格と回収コストの差が利益を生みます。

事業構成は、米国でのポートフォリオ購入・回収事業、英国・欧州でのクレジット管理・債務代行事業、そしてインドやメキシコなどを含む国際的な投資・成長事業に分かれます。同社は蓄積したデータを使った分析や厳格なコンプライアンス体制で購入判断と回収手法を最適化し、コスト効率と回収率の向上を図っています。

経営方針

同社は成長戦略として、米国と英国を中心に債権購入と回収事業を拡大することを目指しています。2024年末時点で投資中の買入債権残高は約38億ドルにのぼり、短期的な回収の変動(2024年の回収見直しで約8970万ドルの下押し)を織り込みながらも、資本配分の優先順位として「収益性の高い債権購入」「自社株買い」「戦略的M&A」の順で資金を配分する方針を示しています。自社株買いについては取締役会が3億ドルの買戻し枠を承認しており、2022年には約149万7千株を約8,690万ドルで取得、2024年12月31日時点で買戻し余力は約9,190万ドルを保有しています。配当は過去に実施しておらず、当面は内部投資と資本効率の向上を優先しています。

同社は差別化のためにデータとコンプライアンスに重点投資しています。数年分にわたる消費者行動データを蓄積し、統計・分析チームとソフトウェア開発者が独自の行動評価モデルや評価スコアを作成しており、クレジットビューロー等の外部データも毎年大規模に購入しています。さらに、欧州の子会社であるCabotを通じた債務管理やMCMによる米国での回収力と運用規模を強みに、発行元(銀行や小売業者)との信頼関係を構築して独占交渉権を確保することで、買入機会とコスト優位を追求しています。加えて、規制環境に精通している点(英国の金融当局承認や主要米国発行体の認証取得)は、他社に対する競争上の強みとなっています。

同社は新市場開拓では、フランスやスペインでの事業強化を目指すとともに、インド(Encore Asset Reconstruction Company)やメキシコなどLAAP地域での追加的な投資機会を探っています。取引形態としては、都度のスポット買いに加えて継続的に債権を受け取る「フォワードフロー」契約を活用しており、2024年末時点でこうした協定の最低見積買入総額は約3億4,410万ドルに達しており、実際の買入額はこれを大きく上回る見込みとしています。市場参入や拡大は、既存の買主関係と規制対応能力、そして資金調達の柔軟性を背景に段階的に進める計画です。

同社は技術革新に継続投資することで回収効率と消費者対応を改善することを目指しています。社内の分析インフラは行動スコアや法的手続き向けのスコアカードといったツールを備え、ダイレクトメール、コールセンター、デジタルチャネルを組み合わせた最適な接触戦略を実行しています。また、サイバーセキュリティ対策として米国標準技術研究所のフレームワークを参照した管理体制を整備し、専任のセキュリティチーム、外部評価、インシデント対応計画やサードパーティ管理を導入しており、開示や内部統制の有効性について経営陣と監査人が一定の評価を示しています。これらの取り組みで回収率の向上とコスト低減を両立させることを目指しています。