Eastern Bankshares, Inc.EBC

時価総額
$40.4億
PER
地域密着型銀行業の有力企業。中堅企業向け商業融資、預金、資産運用を展開。総資産256億ドル・預金213億ドル(2024年12月31日)、2024年7月の同業買収。ボストン中心に東マサチューセッツ・南ニューハンプシャーで109支店展開。

事業内容

Eastern Bankshares, Inc.はマサチューセッツ州ボストンに本拠を置く持株会社で、傘下の銀行を通じて地域密着型の銀行業務を行っています。同社は預金口座、法人・個人向け融資、信託・資産管理といった金融サービスを中心に、支店網とデジタルチャネルで顧客にサービスを提供しています。

同社の主要な顧客は中堅企業や小規模事業者、個人預金者、さらには自治体や機関投資家といった地域の顧客層です。収益は主に貸出金利と資金調達コストの差額である利ザヤに加え、資産管理手数料や現金管理、信託業務などの手数料収入が柱で、預金は貸出や投資の主要な資金源になっています。

事業は銀行業務を中心とし、融資は商業・産業向け、商業用不動産、建設ローン、住宅ローンや自宅担保ローンなど複数の分野に分かれています。加えて資産管理・信託業務やロックボックス・現金管理サービスを手掛け、近年のCambridge Trustとの統合などで富裕層向けのウェルスマネジメント機能を強化し、テクノロジー投資で顧客体験と業務効率の向上を進めています。

経営方針

同社は有利子資産と預金の市場シェアを拡大することを成長戦略の中心に据え、オーガニック成長と機会的なM&Aの両輪で収益拡大を目指しています。具体的には、2024年末時点で総資産約25.6億ドル、総貸出金約181億ドル、預金約213億ドル、自己資本約36億ドルという規模をベースに、貸出と預金の拡大を通じて収益性の高い市場シェアを伸ばす方針です。経営陣は貸出起案量の増加には有能な営業・審査人材の確保が不可欠と位置づけており、預金成長により資金を調達して資産成長を賄うことを前提としています。

同社は差別化のために地域密着型の顧客関係と保守的な与信文化を重視しつつ、富裕層向けの資産管理など複数分野で重点投資を行っています。例として商業・産業向けローンは2024年末で約33億ドル(総貸出の約18.4%)と中核商品であり、地域内で約11,000の商業関係を保有するなど対面での関係構築を強みとしています。また従業員の定着・育成や包括的な報酬制度(年金、401(k)、従業員持株制度など)にも投資しており、顧客対応力と人的資本を差別化要因としています。

事業拡大面では、同社は買収を成長戦略の重要な柱と位置づけており、2024年7月のCambridge Trust買収がその一例です。Cambridge統合により18の支店とウェルスマネジメント機能を取り込み、買収に伴うのれんや無形資産は2024年末で約11億ドル規模となっています。買収時の簿価調整として有価証券の評価調整約1.589億ドル、貸出の公正価値割引約2.77億ドルや、購入時の貸倒引当金などが計上された点も明示しており、今後も地域拡大と事業領域の補強を機会的に追求する計画です。ただし同社は統合過程での人材流出や規制承認の不確実性などのリスクを認識しており、それらを管理しながら成長を図る方針です。

技術革新については、顧客体験の向上と業務効率化を目的に定期的な投資を続け、データ分析とIT基盤の強化でスケーラブルなプラットフォームを構築することを目指しています。サイバーセキュリティでは「多層防御(defense in depth)」のアプローチを採り、最高情報責任者が月次で指標を監督、取締役会のリスク管理委員会も四半期報告を受けていると開示しており、2024年には事業に重大な影響を与えるサイバー事案は発生していません。109の支店網を維持しつつデジタル化で顧客利便性と運用レバレッジを高めることが、同社の技術戦略の要です。