BRINKER INTERNATIONAL, INCEAT

時価総額
$60.1億
PER
レストランチェーン運営の大手。グリル系カジュアルダイニングとイタリアン業態、アプリや非接触端末によるオフプレミス対応を展開。2025会計年度に新ERPを導入、GMの約87%を社内昇格、2021年8月に3億ドルの自社株買い枠を承認。米国中心に展開。

事業内容

BRINKER INTERNATIONAL, INCは、主にチェーン型のカジュアルダイニングレストランを運営する外食企業で、特に「Chili's」と「Maggiano's」を中核ブランドとして展開しています。 同社は店内飲食を中心に、テイクアウトや配達、宴会・ケータリングサービスなど複数の提供チャネルで食事や飲料を販売しています。

同社の顧客は一般消費者で、ファミリー層やカジュアルな外食を好む来店客が中心です。 収益構造は自社運営店舗の売上が大部分を占める一方で、フランチャイズからのロイヤルティや手数料、ギフトカードやアルコール販売などの多様な収入源でも利益を上げています。

事業は報告セグメントとしてChili's、Maggiano's、そしてコーポレート/その他に区分され、各ブランドごとにメニューや店舗フォーマットを最適化して展開しています。 同社は自社店舗とフランチャイズの両方で事業を行い、店舗支援のための情報システム、人材育成プログラムや商標管理などのコーポレート機能に注力して収益性とブランド価値の維持を図っています。

経営方針

同社は、主要ブランドであるChili’sとMaggiano’sの長期的な収益拡大と株主還元を両立することを目指しています。具体的にはキャッシュ創出力を重視し、運転資金と投資余力の確保に努める一方で株主還元に注力しており、2021年に承認された当初の買戻し枠300百万ドルを背景に、2025会計年度は100万株(約7,600万ドル)を自己株式買付で取得しました。決算後には取締役会が追加で4億ドルの買戻し承認を行い、買戻し枠の総額は5億70.7百万ドルとなっており、配当は2024・2025両年度で宣言していない点からも、同社はまずは資本の柔軟な配分と自己株式買戻しで株主価値向上を図る方針です。

同社は、現場の人材育成と顧客体験を差別化の中核に据えています。従業員向けの「Be Well」施策や無償の教育支援プログラム(Best You EDU:GEDや準学位など)を導入し、幹部候補の内部昇進を重視しているため、2025年度は新任ゼネラルマネージャーの約87%が社内昇格でした。また、給与・福利厚生(退職金制度やメンタルヘルス支援、年次のフィットネス補助など)を通じて採用・定着を図り、メニューや店舗サービスの価値訴求を通じて競合と差別化を図っています。

同社は、店舗ネットワークの拡大と既存店の収益最適化を組み合わせて成長を狙っています。事業モデルは直営とフランチャイズの併用で、フランチャイズ展開による出店拡大や既存店のオペレーション改善を進める計画です。マクロ環境の不確実性(労賃・食材のインフレやサプライチェーンの乱れ)を踏まえ、同社は現金と1.0億ドル規模のリボルビング・ファシリティの利用可能性を確保しており、少なくとも今後12か月の資本支出と運転資金需要を賄えると見込んでいます。

同社は技術投資を成長の推進力と位置づけ、ゲスト体験と業務効率の双方を強化しています。2025会計年度に人事・業務を包含する基幹業務システム(ERP)を導入し、在庫管理・需要予測・生産性管理を行うバックオフィスを強化しました。顧客向けにはアプリや卓上端末、携帯端末を用いた非接触型の注文・決済環境を整備し、データセンターの地理的分散や複数クラウド環境の活用、監視・暗号化・サードパーティ評価を含むサイバーセキュリティ投資で稼働継続性とデータ保護にも取り組んでいます。