- 米国企業
- DiamondRock Hospitality Co
DiamondRock Hospitality CoDRH
事業内容
DiamondRock Hospitality Companyは、米国内のプレミアムホテルやリゾートを取得・保有し、改装や資産運用で価値を高めることを主業務とする宿泊特化型の不動産投資信託(REIT)です。同社は都市部や観光地を中心にポートフォリオを展開し、客室や共用施設の改修やブランド戦略で収益基盤を強化しています。
主要な顧客は個人宿泊客や企業の団体利用、会議やイベントの利用者で、収益は客室収入、飲食サービス、会議室利用料などのホテル運営収益が中心です。同社はホテルの直接運営は行わず、運営は第三者に委託しており、運営会社に支払う手数料を差し引いた後の営業利益を受け取る構造です。
事業の実務面では、保有ホテルごとに改装やブランド変更、付帯サービスの導入、飲食店舗の賃貸化や未利用スペースの会議室化といった収益改善策を進めています。同社は財務面で低めのレバレッジと資本の柔軟性を重視し、安定的な配当支払いと成長投資の両立を図る資金戦略を採っています。
経営方針
同社は長期的な株主還元の最大化を目指しています。成長戦略の中核は、米国の主要都市やリゾート市場に集中するプレミアムホテルの所有・運営を通じて、配当と資本価値の両面でピアを上回るリターンを実現することです。具体的には、2024年12月時点で37軒、客室数10,004室のポートフォリオを保有しており、四半期ごとの配当はREIT課税所得の少なくとも90%を目安に支払う方針を掲げています。資本政策では保守的なレバレッジを重視し、2024年末の有利子負債は約11億958万ドルで、そのうち変動金利は約8億ドルにのぼるため、金利変動に対する感応度を踏まえた運営を行っています。
同社の差別化は「積極的なアセットマネジメント」にあります。具体策として2021年以降で6軒のリブランドを実行し、さらに1軒のリブランド・リポジショニングを進めています。また、リゾート料やアメニティ料の導入、客室増設、レストランの外部運営者へのリース化、未活用スペースの会議施設化、平日稼働の販売強化といった収益改善策を導入しており、こうした施策で客室単価や稼働率、運営効率の向上を図っています。さらに、マリオットなどの大手ブランドとの関係を活用して会員需要を取り込み、運営会社との契約で年次予算や資本支出に影響力を持つ交渉を行うことで資産価値の最大化を目指しています。
新規市場開拓と事業拡大については、供給が制約され成長余地のあるデスティネーション市場や既存ポートフォリオと地理的に補完する市場を重点的に追求しています。資本コストが魅力的な場合は戦略的買収を行い、逆にコストが高い局面では自己株買いで投資余力を活用する方針です(例:2023年にモンタナ州Chico Hot Springsを約3,190万ドルで取得、2024年にミネアポリスのAC Hotelを約3,050万ドルで取得)。また、非中核資産の売却や共同事業への参画も選択肢としており、実際にワシントンD.C.のWestinを約9,200万ドルで売却する契約を締結するなど、ポートフォリオの入れ替えを通じた質の向上を図っています。
技術革新とリスク管理にも取り組んでいます。サイバーセキュリティ面では外部のマネージドサービス提供者を活用し、仮想の最高情報セキュリティ責任者(vCISO)と最高情報責任者(vCIO)を導入、第三者評価に基づく定期的なリスクアセスメントとアプリケーション評価を実施しています。また、収益管理システムや省エネ・労務効率化プログラムを通じて運営効率を高め、金利リスクに対しては金利スワップでヘッジを行っており、2024年末時点で225百万ドル分のスワップを保有、2025年1月2日付でさらに100百万ドルを追加しています。これらの取り組みで収益の安定化と資産価値の保全を図っています。