DOVER CorpDOV

時価総額
$244.1億
PER
産業向け製造機器とコンポーネントの大手。エンジニアリング製品、クリーンエネルギー機器、ポンプ・プロセスソリューションなどを展開。2024年に複数社を買収、主要案件は1月31日(121,917千ドル)と1月17日(48,241千ドル)による買収。北米・欧州を中心にアジアや新興国にも展開。

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企業概況
99文字)
業績概況
テーマ
1項目)
ブランド
ライバル企業
3社)
同業種の日本企業
1社)

事業内容

Dover Corporation(以下、同社)は、産業向けの多様な機械・装置や部品を設計・製造する企業で、ニッチな市場向けに専用ソリューションを提供しています。同社の主力にはポンプや流体制御装置、燃料小売向けの給油・決済システム、印字・識別機器などがあり、ハードと合わせて消耗品やソフトウエア、保守サービスも手掛けています。

同社は世界中の工業メーカー、燃料小売・流通事業者、医薬・バイオ関連企業、食品小売など多数の顧客を相手にしています。収益は設備販売と、部品・消耗品・サービスの定常収入が組み合わさる構造で、後者が約36%を占めるため収入の安定性を確保しつつ分散した顧客基盤を持ちます。

事業は大きくエンジニア製品、クリーンエネルギー&燃料、画像・識別、ポンプ&プロセスソリューションの各セグメントに分かれ、それぞれで装置本体と消耗品・ソフトウエア・アフターサービスを組み合わせた提供を行っています。同社はエンジニアリング力や研究開発拠点を活用しつつ、買収による補完で製品群を拡充し、共有サービスやグローバル調達で効率化を進めて収益性とキャッシュ創出力を高めています。

経営方針

同社は長期的に国内総生産(GDP)を上回る有機売上成長を目指しており、目安として年間平均4〜6%の有機成長を掲げています。2024年の連結売上高は約77億ドル($7.7B)で、成長は有機成長に加え戦略的買収によって補完されています。直近では2024年に8件で約6.74億ドルを投資し、2022〜2024の3年間で約15億ドルを買収に投じており、買収後3〜4年で二桁の投下資本利益率を獲得することを目指しています。フリーキャッシュフローと1株当たり利益の成長を重視し、配当と機動的な自社株買い(2024〜2026年に最大2,000万株の買戻し枠)を含めた資本配分を実行しています。

重点投資分野はエンジニアドプロダクツ(機械・部品)、クリーンエネルギー&フューエリング、イメージング&識別、ポンプ&プロセスソリューションなどのセグメントです。同社は装置本体だけでなく消耗品や部品、アフターサービスを組み合わせるビジネスモデルを差別化要因とし、消耗品・部品・サービスが売上の約36%を占めることで安定的な収益基盤を確保しています。また、共通の管理機能やグローバル調達、Dover Business Servicesやインドイノベーションセンター(約800名)といった集中化されたリソースでコストや開発速度の優位性をつくり、資本支出は売上の約2%を目安に成長投資と生産性向上に振り向けています。

新市場開拓では、クリーンエネルギー(液化天然ガス、次世代水素、電気車向け充電、低温・クライオ技術)やバイオ医薬のシングルユース製造、データセンター冷却、リサイクルプラスチック・ポリマー加工など成長性の高い分野に注力しています。地域的にはアジア、中東、東欧、南米などの伸びしろある市場での展開を強化しており、実務面ではターゲットに沿ったボルトオン型買収で製品群や顧客接点を拡大しています。具体例として2024年にはBulloch(POS/フォーコート制御)を約1.22億ドル、Transchemを約4,824万ドル、Demacoを約4,256万ドルで取得するなど、事業拡大とシナジー創出を進めています。一方で非中核事業は機動的に処分して資本を再配分しており(例:De‑Sta‑Co売却で約6.76億ドル、ESG事業売却で約20億ドル)、ポートフォリオの質向上を図っています。

技術革新への取り組みとして、同社はデジタル化・自動化・製品開発への投資を強化しています。India Innovation Centerを中心に約800人のエンジニアを活用して製品エンジニアリング、ソフトウェア開発、データ管理を進め、接続製品や遠隔監視・診断、ソフトを伴う消耗品サービスによる付加価値提供を目指しています。加えて買収先の技術や顧客関係を迅速に取り込み、製品の差別化と運用効率の改善で利益率向上を図ることで、持続的な競争力を確保しようとしています。