Doximity, Inc.DOCS

時価総額
$94.4億
PER
医療専門職向けデジタルネットワークの米国最大手。AI搭載の臨床ワークフローやマーケティング・採用ソリューションを展開。2023年にAMiONを買収、2021年にCurative Talentを買収。米国中心に展開。

ランドスケープPowered by 会社四季報オンライン

企業概況
109文字)
業績概況
テーマ
ブランド
1項目)
ライバル企業
1社)
同業種の日本企業
1社)

事業内容

Doximity, Inc.は米国の医療従事者向けに特化したプロフェッショナルネットワークを運営しており、医師やその他の医療専門職が同僚とつながり、臨床業務を効率化するためのデジタルツールを提供しています。同社の主力サービスは、診療現場で使う業務支援ツール、製薬会社や医療機関向けのデジタル販促ソリューション、そして医療人材の採用支援です。

主要な顧客は製薬メーカーと大規模な医療機関で、収益は顧客向けサブスクリプションやスポンサードコンテンツ、採用サービスの手数料、企業向け契約から得ています。同社はモジュール式の商品構成と直接営業による長期契約で継続的な売上を重視しています。

事業は大きく販促、採用、臨床業務支援の三本柱に分かれ、販促では専門領域に合わせた配信とAIによる最適化で製薬顧客の販促効果を高めています。採用では全国規模の医師データベースと自動マッチングで求人と候補者をつなぎ、臨床業務支援ではスケジュール管理や文書作成、患者との安全な通信、DialerやAMiONなどのツール、さらにDoximity GPTのようなAI機能で医師の日常業務の効率化を図っており、豊富な医師データが同社の競争力になっています。

経営方針

同社はネットワーク効果を軸に持続的な成長を目指しています。具体的には医師中心の会員基盤をさらに拡大し、顧客向けソリューションの利用拡大で収益を伸ばす戦略を掲げています。実績としては、2025会計年度の売上が前年から約20%増、2024会計年度は約13%増となっており、同社はこの成長を維持するために営業・マーケティングや研究開発への積極投資を続ける方針です。一方で成長を管理するために組織やシステムの強化が必要であることも認識しており、投資拡大により一時的に利益率が低下する可能性がある点も明示しています。

同社の差別化は医療領域に特化したプラットフォームとデータ資産にあります。数年間で会員同士のやり取りが何億回も蓄積され、米国内の医師情報や研修・雇用データを結合した動的なデータベースを構築しているため、製薬会社や医療機関に対して価値の高いマーケティングや採用チャネルを提供しています。臨床ワークフローに寄り添う設計も重視しており、医師出身のプロダクト責任者を置くことで「現場で使える」機能(例:コールリマインダーや直通留守電など)を提供し、数十万規模の医療従事者が日常的に利用するワークフロー製品で差別化を図っています。

新市場や事業拡大では会員の職種拡張と顧客の深掘りを狙っています。具体的には看護師や医師助手、理学療法士、歯科医、心理士など非医師領域への浸透を図り、既存の製薬メーカーや医療機関には導入モジュールの拡張で支出を増やしてもらう方針です。患者向け機能の拡大にも着目しており、U.S. Newsとの連携による医師検索や予約機能のような取り組みを拡大する計画があります。戦略的買収も選択肢に入れており、過去にCurative TalentやAMiONを買収(AMiONの買収対価は約7,463万ドル、追加の業績連動支払も設定)した実績を踏まえ、必要に応じてM&Aで機能や市場を補完します。資本政策面では、取締役会が2024年5月に最大5億ドルの自社株買い枠を承認しており、2025年3月末時点で約1,875,226株、約7,600万ドルを買い戻し残り約4.24億ドルが利用可能です。

技術革新には機械学習や人工知能を中心に継続投資しています。会員の閲覧履歴や外部データを結びつけて個別化したニュース配信や広告ターゲティングを行うほか、候補者と求人の自動マッチング、顧客向けのAI支援コンテンツ作成ツール、エンタープライズ向けの「Doximity GPT」などを展開しています。プロダクト開発は迅速なプロトタイピングと段階的ロールアウトで行い、基盤はクラウド(例:Amazon Web Services)上のモダンスタックで可用性と拡張性を確保しているため、セキュリティやプライバシー(HIPAA準拠の検証など)を担保しつつ新機能を投入していく方針です。