DermTech, Inc.DMTKW

時価総額
$325.5万
PER
メラノーマ診断向け分子診断サービスの有力企業。99%超の陰性予測値を誇る非侵襲パッチ式ゲノム検査とSmart Stickerを展開。2019年8月の事業結合完了や2023年1月の約30名の人員削減実施。米国中心の事業展開、欧州展開への注力。

事業内容

DermTech, Inc.は非侵襲的な遺伝子検査を用いてメラノーマ(皮膚がん)の診断支援を行う分子診断企業です。主力は皮膚表面から接着パッチで組織を採取する「Smart Sticker」と、採取した検体を解析してメラノーマのリスクを評価するDermTech Melanoma Test(DMT)で、高い陰性的予測値で悪性の可能性を除外することを目指しています。

主要な顧客は皮膚科医を中心とした医療機関で、まず専門医向けに検査を展開しつつ保険適用が整った地域では請求可能な検体を優先して扱う戦略を取っています。同社の収益は主に検査の受託収入や保険請求による検査料が中心で、保険適用状況や価格設定が売上に大きく影響します。

事業は検査用パッチの供給、自社ラボでのゲノム解析、臨床試験や保険償還獲得に向けた研究開発の三本柱で構成しています。同社は欧州などの各国規制や個人情報保護にも対応しながら、将来的には一次診療への展開やメラノーマ以外の皮膚疾患向け検査の拡大も進めています。

経営方針

同社はDermTech Melanoma Test(DMT)の商業化を通じて持続的な収益化を目指しています。2023年は純損失が約1億0,088万8,000ドル、営業活動によるキャッシュ流出は約7,700万ドルでしたが、同時に現金約36.7百万ドルと短期有価証券約19.1百万ドルを保有しています。こうした財務状況を踏まえ、2023年6月の戦略的優先化に続き、2024年1月に約15%の人員削減を実施するリストラ計画を承認し、関連費用として約130万ドルの計上を見込んでいます。短期的には収益性向上と資金効率化を最優先とし、保険償還が確立している地域での請求可能な検体を優先することで平均販売単価の向上を図っています。

同社は研究開発と臨床エビデンス構築、そして検査を支えるラボ運営や販売・償還活動に重点投資しています。従業員構成を見ると、研究開発に従事する人数や臨床運用、ラボ運営、販売・マーケティングに人的資源を割いており、こうした投資によりDMTを支える解析技術とサンプル収集の仕組み(Smart Sticker)を強化しています。差別化要素としては、非侵襲的な粘着パッチで皮膚サンプルを採取し、ゲノムマーカーを解析してメラノーマを除外する性能(陰性予測値が99%以上と報告されること)にあり、不要な外科的生検を減らすことを臨床上の価値として打ち出しています。

同社は新市場の開拓と事業拡大にも取り組んでいます。具体策として、まずは保険償還が確立している地域での収益最適化を進め、その上でプライマリケア領域への展開を目標にしていますが、これは規制承認や各国の償還制度の整備が前提になります。国際展開や第三者ラボとの連携も視野に入れており、資金調達面では2022年の販売契約で約7470万ドルの残容量がある一方で、公募規制(いわゆるベビーシェルフ)による制約があるため、追加資金は株式発行、借入、提携など複数の手段を検討していることが開発計画の現実化に直結します。

同社は技術革新を継続的に推進しており、DMTの性能最適化と臨床的有用性を示すための複数の臨床試験を進めています。これらの試験は診療現場での意思決定をどのように変えるか、医療コストの削減につながるかを示すことを目的としており、得られたデータは償還交渉や医師への普及に直接活用されます。将来的にはメラノーマ以外の検査メニュー拡大や解析アルゴリズムの改良も視野に入れており、同社はこれらの研究投資と知的財産の保護を通じて競争優位を維持することを目指しています。