Dynagas LNG Partners LPDLNG

時価総額
PER
LNG海運の有力企業。長期タイムチャーター契約によるLNG運航サービスを展開。2013年11月のIPO、2024年6月の複数船セール・リースバックや2024年11月の1,000万ドル自社株買い枠設定。米国・欧州中心の国際展開。

事業内容

Dynagas LNG Partners LPはLNG(液化天然ガス)運搬船の所有と運航を主業務とする上場のパートナーシップです。同社は設立以来保有隻数を拡大し、現在は6隻を保有しており、これらの船舶を通じて海上でのLNG輸送サービスを行っています。

主要顧客にはSEFE、Equinor、Yamal、NextDecadeといった国際的なエネルギー企業があり、長期のタイムチャーター契約から得られるチャーター料が同社の主な収益源です。長期契約により収益は比較的安定しますが、船隊規模や顧客集中によるリスクがあるため、同社は現在キャッシュを借入金の返済と財務強化に優先的に振り向けています。

事業構造としては、船舶をマーシャル諸島やマルタに設立した全額出資の子会社で保有し、運航は関連の運営会社を通じて行う形をとっています。活動領域はタイムチャーターによる輸送事業が中心ですが、浮体式貯蔵・再気化設備(FSRU)などのエネルギー関連プロジェクトへの参画、スポンサーや第三者からの船舶取得、売却・リースバック等のファイナンス手段を通じた成長機会の追求も計画しています。

経営方針

同社は当面、資本配分の最優先を「債務返済」とすることでバランスシート強化を目指しています。2013年の上場以降、船隊は3隻から現在6隻へ拡大しましたが、現在は全6隻がSEFEやEquinor、Yamal、NextDecade等とのタイムチャーター契約下にあり、安定したキャッシュフローと高い稼働率を確保しています。資本コストが受け入れられる水準に戻れば、新規の債務や株式による資金調達を通じて成長を再開する方針ですが、当面は財務健全化を優先しつつ、市場環境次第で拡大機会を検討する姿勢です。

同社は重点投資分野として、まず既存のLNG輸送事業の効率化と安全性向上に投資することを挙げています。差別化戦略としては、長期チャーターを結ぶ国際的エネルギー企業との関係性や「安全で確実な運航」という評判を活かし、稼働率と長期収益の安定化を図る点を重視しています。また機会があればスポンサーや第三者からの船舶取得を行い、船隊の構成や契約形態で柔軟に優位性を確保することを目指しています。

新市場開拓や事業拡大については、同社はLNG輸送に加えて浮体式貯蔵再ガス化設備(FSRU)やLNGインフラプロジェクトといった関連領域への参入を検討しています。具体的施策としては、好条件での資本調達が可能になった段階でこれらの設備投資や追加船舶の取得を進める方針であり、短期的には資金余力を高めるために借入返済と並行して市場での自社ユニット買戻しプログラム(上限1000万ドル枠、実績で55,118単位、約247,000ドル買戻し)を運用しています。

技術革新への取り組みでは、サイバーセキュリティと内部統制の強化に重点を置いています。同社はISO 27001に基づくリスクベースの管理手法を導入し、継続的な監視とデータ解析、外部コンサルの活用、社内の定期的な教育を通じて脅威検知・対応体制を整備しています。また財務報告や統制面でも体制整備に資源を割き、投資家や貸し手からの環境・社会・ガバナンス(ESG)への期待に応えることで、将来の資本調達環境を改善することを目指しています。