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Delek US Holdings, Inc.DK
事業内容
Delek US Holdings, Inc.は、米国南部と西部を中心に石油の精製から販売・輸送・貯蔵までを一体的に手掛ける持株会社です。同社は原油を精製してガソリンや軽質石油製品に加工し、それらをターミナルやパイプライン、車両を通じて市場に供給しています。
同社の顧客は卸売業者、燃料小売業者、産業ユーザーや第三者の物流顧客など多岐にわたり、精製からの製品販売が収益の大きな柱です。一方で、パイプラインや貯蔵、集荷・輸送、水処理といった物流サービスからの手数料収入や長期契約による安定収入も収益構造を支えています。
事業は主に精製セグメントと物流セグメント、ならびにコーポレート活動に分かれています。精製側は複数の製油所やかつてのバイオディーゼル設備、アスファルト関連の合弁事業を含み、物流側は原油や製品の集荷・輸送・貯蔵、ターミナル運営、現地の水処理・再利用事業やトラック輸送など多様なサービスを展開しています。
経営方針
同社は成長戦略の中核に「統合型のビジネスモデルを拡大すること」を据えており、精製から輸送、貯蔵までを一貫して担うことで収益性とフリーキャッシュフローの向上を目指しています。過去の成長は主に買収で実現しており、2024年にはH2O Midstreamを約2.30億ドルで取得、2025年初にはGravityを約3.01億ドルで取得するなど、水処理・処分事業の拡大を進めました。精製能力は合計約30.2万バレル/日、稼働シェル容量は約1,120万バレル、パイプラインは約2,204マイルを有するため、資産を組み合わせたシナジー創出を通じて安定的な成長を図る方針です。また、株主還元については安定配当の継続と機会的な自社株買いを両立させる資本配分を目指しており、2024年末時点で買戻し枠は約5.436億ドル残っています。
重点投資分野は精製・ロジスティクス・水処理の三本柱で、同社はこれらへの重点的な設備投資と低資本での有機的改善によって差別化を図っています。物流部門では貯蔵・輸送インフラ(約1,400マイルの集油系統や約11.2百万バレルのアクティブシェル容量)やターミナル網を活用し、供給信頼性を武器に「市場での供給者の選択肢」となることを目指しています。加えてコスト構造改善としてゼロベース予算やEOP(業績改善計画)を導入し、精製歩留まり改善や流通の最適化でマージン向上を狙っています。
新市場開拓や事業拡大については、地理的なプレゼンスを広げることと、不採算・非中核資産の見直しを同時に進める戦略です。PermianやMidland、Bakkenなど油・水処理が重要な地域での買収を通じて事業基盤を強化しており、同時にDelek Logisticsの持分売却など「サム・オブ・パーツ(資産ごとの価値顕在化)」の実行も視野に入れています。加えて、Big Springでの二酸化炭素回収パイロットのような環境関連の共同事業や、公的支援を伴うプロジェクト参加も模索しており、新たな収益源の創出を目指しています。
技術革新については運転の最適化と意思決定の高度化を重点に取り組んでおり、同社はリアルタイムの運用判断を可能にするデジタル化やプロセス自動化を進めています。具体的には現場の稼働データを活用した稼働率・歩留まり改善や、プロジェクト投資前の環境・社会影響を定量化するスクリーニング(温室効果ガス、炭素強度、水使用量、廃棄物等の指標を含む)を導入し、投資判断の透明性と持続可能性を高めようとしています。情報セキュリティやサイバー対応も経営層の監督下で強化しており、技術面とガバナンス面の両輪で長期的な競争力を高めることを目指しています。