DAILY JOURNAL CORPDJCO

時価総額
$7.2億
PER
新聞発行と裁判所向けケース管理ソフトの大手。ケース管理システムとeファイリング、交通罰金のオンライン支払サービスを展開。チャールズ・T・マンガー氏の死去(2023年11月28日)。米国約32州と国際展開。

事業内容

DAILY JOURNAL CORPは伝統的な新聞・法令出版事業と、裁判所などの司法機関向けケース管理ソフトを提供するソフトウェア事業の二本柱で事業を営んでいます。出版側は弁護士向け日刊紙や裁判規則集、公告・公示のウェブサービスを扱い、ソフトウェア側は電子的な事件管理やe‑ファイリング、オンライン決済などを中心に展開しています。

同社の主要顧客は州・地方の裁判所、検察・公選弁護人事務所、保護観察機関、市県などの公的機関や法律専門家で、収益は新聞の購読・広告収入とソフトのライセンスやサブスクリプション、導入コンサルティング、保守・ホスティング料、決済手数料などで成り立っています。加えて、同社は保有する上場有価証券からの評価益・実現益が大きく、評価変動が報告上の純利益に影響を及ぼす点が特徴です。

事業セグメントは「Traditional Business」と「Journal Technologies」の二つに分かれており、前者はThe Daily Journalsや裁判規則、司法プロフィールといった出版・公告系サービスを中心に運営しています。後者はシステム導入時のコンサルティング、定期的なサブスクリプションと保守、第三者ホスティングを組み合わせた契約が中心で、約32州ほか海外にも展開し、競争力維持のために技術投資やAI機能の導入を進めています。

経営方針

同社は成長戦略の中心をソフトウェア事業(Journal Technologies)の拡大に置いており、「同社は成功する収益性の高いソフトウェア事業をさらに発展させることを目指しています」。2024年度の連結売上高は約6,993万ドルで、そのうちJournal Technologiesが約5,310万ドル、従来事業が約1,682万ドルを占めています。大量の市場性有価証券(約3.59億ドル)の運用収益を成長投資の財源に活用する方針で、2024年には有価証券売却で約4,058万ドルを確保し、投資のための借入残高を約7,500万ドルから約2,750万ドルへ圧縮しました。配当は当面見込まず、手元資金と運用益を事業投資に回す方針です。

重点投資分野として同社は製品開発とセキュリティを挙げており、「同社は製品差別化のために司法・裁判分野に特化したソリューション強化を目指しています」。具体的にはケース管理や電子ファイリング、オンライン支払いなど司法機関向け機能の充実を進め、ライセンス・保守収入は2024年度に約2,826万ドルへ拡大しました。競合は大手やニッチ企業が存在するため、同社は司法分野に特化した深い業務知見と州ごとの導入実績(約32州で採用)を差別化要素にしています。また情報セキュリティ面では専任のセキュリティ運用責任者を2024年8月に採用し、多要素認証、迷惑メール対策、継続的監視や復旧計画の定期検証など具体策を導入しています。

新市場開拓や事業拡大の計画では、「同社はサブスクリプション型の顧客基盤拡大と国際展開をさらに進めることを目指しています」。実際にライセンスや定期収入の比率が高まっており、コンサルティング収入の回収条件を厳格に管理しつつ、サブスクリプション収入を安定化させる方針です。加えてオフィス統合や不稼働資産のリース化(ロサンゼルス隣接ビルやユタ州オフィスの活用検討)によるコスト効率化も進めています。資金面では手元流動性(運転資本は約3.56億ドル)と市場性有価証券を使って成長投資や必要に応じた追加資金調達に対応する計画です。

技術革新への取り組みとしては、「同社は製品の次世代化とAIの実装を通じて競争力を高めることを目指しています」。既に一部製品にAI機能を導入しており、技術的負債を解消するために次世代の開発手法や設計パターンへの移行を進めています。資本支出自体は過去に小規模でしたが(2024年度の設備投資は約4.9万ドル)、今後はソフトウェア投資やセキュリティ強化に重点的に配分し、経営陣のインセンティブ(2024年の株式報酬プランでCEOに400株と400のRSU付与)で長期的な価値創出を促す方針です。