DIGITAL ALLY, INC.DGLY

時価総額
$2億
PER
映像機器、医療向けRCM、チケット再販の3事業を手掛ける有力企業。ボディカメラ、車載レコーダー、TicketSmarterで4800万枚取扱を展開。2025年2月に公募で約1348万ドル調達。米国中心に法執行、民間警備、医療、イベント向けに展開。

事業内容

DIGITAL ALLY, INC.は主に映像監視と安全機器を開発・販売するとともに、医療関連の請求代行やオンラインのチケット仲介といったサービス事業も手掛けています。同社は警察向けや民間の警備・車両向けの車載カメラやボディカメラ、温度測定や個人防護具といった安全関連製品を中心に事業を展開しています。

主要な顧客は法執行機関や商用車隊、公共交通機関、民間のイベント運営や病院など幅広く、収益はハードの販売、クラウドや保証を含むサブスクリプション、サービス手数料で成り立っています。医療向けの収益回収サービスは回収額に応じた成功報酬型が多く、チケット事業は再販手数料や在庫の転売差益で収益を上げています。

事業は大きく三つのセグメントに分かれています。映像ソリューション部門は車載・ボディカメラやフリート管理ツールとクラウド契約、衛生関連のShieldやThermoVuなどを扱い、収益は製品販売と定期課金が中心です。レベニューサイクルマネジメント部門は保険確認、診療記録のコーディング、代金回収などを行い月額や成功報酬で収入を得て、エンターテインメント部門はTicketSmarterのチケット仲介と自社でのイベント制作(Kustom 440等)で手数料やチケット売買による利益を得ています。

経営方針

同社は短期的には収益構造の安定化と営業キャッシュフローの黒字化を最優先課題としています。直近の営業損失は2024年で約1,520万ドル、2023年で約2,220万ドル、累積赤字は約1億3,750万ドルに達しており、経営は追加資金調達とコスト削減の両輪で立て直す必要があります。実際に同社は2024年に約490万ドル、2025年2月に公募で純額約1,348万ドルを調達しており、これらは運転資金や短期債務の返済、買収資金に充当されています。加えて、契約負債が2024年末時点で約1,050万ドルあり、これが2025〜2027年の継続的な収入源になると見込んでいる点から、同社は「まず現金化できる継続収入の拡大で資金確保→黒字化」を目指しています。

同社は投資を優先する分野として、映像機器と車両向けソリューション、医療向けの収益回収サービス、エンターテインメント領域の三本柱を掲げています。具体的には、EVO Fleet、DVM-250 Plus、FLT-250といった車載・イベント記録機器やそれらを管理するFleetVu Managerといったソフトを強化し、ハード販売だけでなく月額の保守・クラウド契約で安定収益を確保する戦略です。また、非警察向けの商用フリート、公共交通、イベント警備、病院や小売といったチャネル開拓に注力し、製品の使いやすさとサブスクリプション型での差別化を図っています。品質管理やコスト削減施策も並行して進め、マージン回復を狙っています。

新市場開拓では買収と自社展開を併用しています。エンタメ分野ではTicketSmarter(約4,800万枚のチケット在庫、12.5万件以上のイベント)やKustom 440、2024年に取得したCountry Stampede(取得対価約54万3千ドル)などを通じて会場・興行ルートを獲得し、興行プロモーションやチケット再販の手数料収入を拡大しています。医療向けの収益サイクル管理(保険確認、診療記録・コード化、回収代行)は顧客から回収額に対する割合で手数料を得るモデルで、放射線科や腫瘍、整形外科など多様な診療科への拡大を目指しています。これらの施策によって、短〜中期にわたる複数の収入源を確保し、上場基準や資本健全性の改善にもつなげる計画です。

技術革新についてはハードとソフトの両面でR&Dを継続しています。同社は体温検知装置ThermoVu(非接触・手首測定、顔認識オプション)やボディカメラ、車載録画装置の機能改良と、クラウド型のデータ管理や遠隔監視機能の拡充に投資しています。知的財産やライセンスの獲得・活用、製品の定期保守やクラウド契約による継続収入化を進めることで、単発のハード売上に依存しないビジネスモデルへの転換を図っています。また、保険ニーズに対応するために再保険子会社(Worldwide Re)を設立するなどリスク管理面の取り組みも行っており、これらを通じて差別化と収益安定化を同時に追求しています。