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- COMMUNITY HEALTH SYSTEMS INC
COMMUNITY HEALTH SYSTEMS INCCYH
事業内容
COMMUNITY HEALTH SYSTEMS INCは、米国内で地域病院を所有・運営する大手の民間医療事業者で、急性期の入院医療から救急、手術、外来まで幅広い医療サービスを展開しています。同社は多様な診療拠点を通じて、地域の患者に日常的な医療から専門治療までを提供しています。
同社の主要な顧客は各地域に住む患者で、収益は患者サービス収入が中心となり、公的医療保険(メディケア・メディケイド)や民間保険、自己負担など複数の支払者から得ています。保険者との契約やネットワークの構成が患者数や収益に影響するため、外来サービスや関連事業の拡大で収益基盤を強化しています。
事業は中核の総合病院に加え、一次診療の診療所、緊急診療センター、外来手術センター、画像診断センター、精神科やリハビリ施設、遠隔診療などの外来系サービスを含む複数のセグメントで構成されています。加えて、地域ネットワークの構築や医師の採用・連携、アカウンタブルケア組織への参加などでケアの連続性と効率化を進め、患者の取り込みと経営改善を図っています。
経営方針
同社は地域での市場シェア拡大と「マーケットリーダー」化を成長戦略の中核に据えています。具体的には、76の関連病院、約11,000床、1,000を超える診療拠点を通じて39の市場にまたがり事業を展開しており、46病院を12の地域ネットワークとして集約するなど規模と集中化を生かして医療費シェアを取りに行く方針です。経営は収益性拡大も重視しており、入院・外来の両面での投資を通じて「収入・利益・営業マージン」の改善を目指しています(内部資本の運用余地としては債務契約上の制約はあるものの約3億ドルの配当・自社株買い余地が示されています)。
重点投資分野では一次医療や救急、整形外科、脳神経、心血管、手術系、行動医療といった成長が見込まれる診療領域に資本を振り向けています。病院内のベッド増設や手術室・処置室の新設に加え、病院外のアクセス拡大として救急外来、緊急ケア(urgent care)、独立型救急、外来手術センター、画像診断センター、遠隔診療の拡充に投資して差別化を図っています。医師リクルートも重視しており、2024年末時点で約1,900名の雇用医師と1,200名の医療従事者を擁する体制で、地域ニーズに応じた医師配置で患者の囲い込みを狙っています。
新市場開拓と事業拡大は買収と選択的な売却を組み合わせるポートフォリオ戦略で進めています。直近では診療所や外来拠点の取得に注力しており、子会社が2024年に約2,500万ドル、2023年に約3,800万ドル、2022年に約900万ドルを支出して医師グループや緊急ケア拠点を取得しました。一方で、資産リバランスのために一部病院を売却しており、例として2024年8月にTennova Healthcare – Clevelandを売却、2023年には複数の病院(Bravera Health系列など)の譲渡を実施しています。これにより重点市場に経営資源を集中し、地域ネットワークの拡大とサービス連携を進めようとしています。
技術革新については患者体験と業務効率の両面でデジタル化を推進しています。中央集約型の患者転送センターや予約のコールセンター/オンライン予約、患者ポータル、テキスト通知や事後アンケートといった取り組みを導入し、遠隔診療やリモートケアも拡大しています。加えてデータ分析を使った需給予測や医療資材の調達最適化、スタッフ配置の効率化、救急と手術室のパフォーマンス改善に取り組んでおり、こうした「データ駆動」の投資で医療の質向上とコスト削減を同時に達成することを目指しています。