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Clearwater Analytics Holdings, Inc.CWAN
事業内容
Clearwater Analytics Holdings, Inc.はクラウド上で投資の会計・報告、パフォーマンス測定、コンプライアンス監視やリスク分析を一体で扱うソフトウエアを提供する企業です。同社は日次で資産データを集約・照合して単一の正確な投資データを作ることで運用の効率化と可視化を図っており、顧客満足度(NPS)は60超、過去24四半期のうち23四半期で総収益維持率が98%以上、ネット収益維持率は2019年以降一貫して100%超と高い定着率を示しています。
同社の主要顧客は資産運用会社、保険会社、企業や機関投資家などで、プラットフォーム上の資産額や資産の複雑性、利用する機能の範囲に応じた定期的な手数料が主な収益源です。2022年以降は新規契約で「Base+」という基本料に資産増加分を重ねる料金体系を導入し、基礎収入の安定化を図りつつ、代替資産や追加モジュールは別途課金する形で収益を拡大しています。
事業面では中核のCore Clearwaterソリューションを軸に、投資報告のPrismやリミテッドパートナー向けのLPx、2023年に導入したMLxなどの周辺製品を展開しています。加えて2022年のJUMP買収で注文・ポートフォリオ管理機能を、2024年のWilshire買収でポストトレードのリスク分析能力を取り込み、用途に応じてモジュールを個別に販売しながら投資ライフサイクル全体をカバーする体制を強化しています。
経営方針
同社は事業の成長を既存顧客との関係深化とアドレス可能市場の拡大で実現しようとしています。直近では2024年の売上が前年同期比で23%増加し、2024年第4四半期にはネット・レベニュー・リテンション(既存顧客からの収益拡大率)が116%に達しました。継続的な顧客維持力の指標であるグロス・リテンション率は過去24四半期のうち23四半期で98%以上を維持しており、2024年には純増で100社超の新規獲得を実現しています。契約体系も2022年以降に導入した「Base+」モデル(基本料金+資産増加に応じた追加料)により、資産価格変動に伴う収益の下振れを抑えることを目指しています。
同社は営業・マーケティングと顧客サクセスに重点投資することで差別化を図っています。北米・国際それぞれに分けた営業体制の拡充、アカウントベースのマーケティング、デジタル投資やブランド認知向上に取り組んでおり、グローバルなマーケティングチームは2024年12月時点で23名です。また四半期ごとの運営委員会や半期のオンサイト訪問、顧客向け会議「Clearwater Connect」を通じて顧客満足度を高め、NPSは業界有数の60超を達成しています。技術面では継続的に全資産の単一の正確なデータリポジトリ(いわゆる“ゴールデンコピー”)を提供することで、レガシーシステムとの差別化を図っています。
同社は新市場開拓と事業拡大を積極的に進めています。北米では資産運用会社の市場浸透率が約4%、保険会社で約31%と未開拓領域が大きく、国際展開も加速させています。エディンバラ、ロンドン、パリ、フランクフルト、シンガポール、香港に拠点を設けており、2024年の海外売上は全体の18%にとどまる一方で、海外の対象市場は約46%を占めるため成長余地が大きいと見ています。戦略的買収も成長戦略の柱で、2022年のJUMP、2024年のWilshire Technology取得に続き、2025年1月に約15億ドルでEnfusionの買収合意を発表し、投資運用の前後工程を一貫して担うクラウド型プラットフォーム構築を目指しています。
技術革新には研究開発と新技術導入で強くコミットしています。同社は機能の幅と深度拡大、ユーザー体験改善、自動化、システム性能向上に重点を置き、機械学習や生成型AIの活用を進めています。従来は一体提供が中心でしたが、PrismやLPx、MLxといった隣接ソリューションをモジュール化して個別販売・課金する方針を採っており、たとえばLPxは出資組合(リミテッドパートナーシップ)の会計処理やNAIC報告の自動化で効率化を実現しています。大口顧客では販売サイクルが長期化するリスクや優秀な人材確保の必要性もあるため、同社は技術投資と人材投資の両輪で競争優位の維持を図る方針です。