CHEVRON CORPCVX

時価総額
$2625億
PER
石油・天然ガスの探査・生産から精製・販売までの統合エネルギー事業の最大手。下流での精製・燃料・潤滑油・化学品と炭素回収・水素等の新事業を展開。2023年8月のPDC買収、2023年10月のヘス買収合意を実施。米国中心に南北米、アフリカ、アジア、オーストラリア、欧州で展開。

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企業概況
192文字)
業績概況
136文字)
テーマ
2項目)
ブランド
3項目)
ライバル企業
5社)
同業種の日本企業
3社)

事業内容

Chevron Corporationは世界的な総合エネルギー企業で、原油や天然ガスの探査・開発・生産から、これらを精製して燃料や潤滑油、化学品に加工する下流事業までを手掛けています。

同社は液化天然ガス(LNG)の取り扱いやパイプライン・海上輸送などのインフラ運営も行い、原料の採掘から製品の供給まで一貫した事業を展開しています。

同社の収益は大きく上流と下流に分かれ、上流は原油や天然ガスの生産と販売、下流は精製したガソリン、ジェット燃料、軽油、潤滑油や石化製品の製造・販売とマーケティングによって成り立っています。

顧客は各国政府や国営会社、産業・輸送業の法人、そして一般消費者や小売店・航空会社など多岐にわたり、市場の需給や価格変動が業績に直接影響します。

事業は報告上「上流(Upstream)」「下流(Downstream)」「All Other」に分かれ、上流は資源の探査・開発・生産・輸送やLNG、ガス処理、炭素回収の取り組みを含みます。

下流は原油の精製・製品の販売、潤滑油や添加剤、石化製品、再生燃料の製造や輸送・販売を担い、同社は低炭素化に向けて再生燃料、炭素回収、グリーン水素、データセンター向け発電や新技術への投資を進めて事業ポートフォリオを多角化しています。

経営方針

同社は「より高いリターン、低炭素、優れた株主価値」を同時に追求することを成長戦略の中核に据えています。具体的には、2025年の純生産(原油換算)を2024年比で6〜8%増加させる目標を掲げ(前提はブレント原油70ドル/バレル、資産売却は除く)、2028年までに売却する資産を100〜150億ドル規模とする方針を示しています。財務面では2024年に152億ドルの自社株買いを実施し、増配を継続することで株主還元を強化しており、構造的コスト削減として2026年末までに20〜30億ドルの削減を目指しています。2025年の設備投資は145〜155億ドルの見込みで、成長投資と配当・自社株買いのバランスを取る資本配分を行っています。

同社は重点投資を上流部門の生産拡大と下流部門の柔軟化に配分して差別化を図っています。上流では米国のパーミアン盆地に45〜50億ドルを投じる計画を中心に、掘削・生産能力を増やすことを重視しています。下流ではパサデナ製油所の改良で軽質原油処理を日量12.5万バレルまで拡大するなど製品の柔軟性を高める施策を進めています。また、低炭素化へは年間で約15億ドルを充て、再生可能燃料、二酸化炭素の回収・貯留(CCS)、水素、データセンター向け発電などを柱に投資し、統合的な資産と顧客基盤を活かして競合他社との差別化を図っています。

同社は新市場の開拓と事業ポートフォリオの最適化を積極的に行っています。近年はカナダのアサバスカ油砂・デュヴェルネイ資産の売却(65億ドル)や、ナミビアのウォルビス盆地での掘削権取得、ウルグアイの海域参画やナイジェリアの鉱区延長といった地域拡大を並行して進めています。さらにヘス社の買収(約530億ドル相当、株式交換での合意)は承認プロセスを順次進めており、完了すれば資源ポートフォリオと生産基盤の拡大、シナジー創出を目指しています。不要資産は切り離して2028年までに100〜150億ドルの売却を目標にし、得た資金を成長投資と株主還元に回す方針です。

同社は技術革新を成長と脱炭素の両立手段と位置づけています。具体的には、湾岸での高圧深海生産プロジェクトの実績や、湾岸地域でのCCS共同事業(Bayou Bend等)による地中貯留の実証、操業から排出を減らすための運転改善で年間約70万トンのCO2相当削減を達成した取り組みを進めています。ベンチャー投資としては5億ドル規模の「Future Energy Fund III」を通じて技術系スタートアップに出資し、デジタル化や自動化で生産性向上・コスト削減を図るとともに、二酸化炭素回収・再利用やバイオ由来燃料、低炭素発電などの実用化を加速させることで、中長期の競争優位を築こうとしています。