- 米国企業
- CARVANA CO.
CARVANA CO.CVNA
事業内容
Carvana Co.は、消費者向けに中古車のオンライン売買を主力とする会社で、ウェブサイトやモバイルアプリ上で車両を検索・購入・下取り・分割払いまで一貫して行えるプラットフォームを運営しています。購入後は自宅配送や同社独自の「車の自販機」などでの受け取り、7日間の返金保証など独自の購買体験を提供しています。
同社の主要顧客は個人の中古車購入者で、収益は車両小売の販売利益が中心となりますが、自動車ローンからの利息や手数料、延長保証やGAP保険、提携自動車保険などの補完商品からも収入を得ています。さらに仕入れたローン債権を外部の金融パートナーに売却することで資金調達コストを管理し、卸売やオークション事業からの手数料収入も持ちます。
事業は大きく分けて、消費者向けのEコマース小売、車両の点検・整備を行う再調整拠点と全国物流ネットワーク、金融サービス(ローンの組成と債権販売)、および卸売オークションの各ラインに分かれます。垂直統合したプラットフォームにより、在庫選定、価格設定、物流の最適化を自社で管理し、選択肢の多さと購買の利便性を高めることに注力しています。
経営方針
同社は「持続的な収益成長と単位当たりの利益改善」を目指しています。2024年の売上高は約136.7億ドル、調整後EBITDAは約13.78億ドル、年間の小売車両販売台数は416,348台に達しており、単位当たりの総利益はGAAPで約6,908ドル(非GAAPで約7,196ドル)となっています。今後も粗利益率と運用効率の向上を優先しつつ、成長に伴い販売台数や取扱量が増えれば販売経費も増加するため、投資の回収見込みが不確実である点にも留意しています。同社は資金調達手段としてATMプログラム(最大10億ドル相当、または21,016,898株)などを活用し、成長資金の確保を図っています。
重点投資分野としては、車両本体以外の「補完的商品・サービス」の拡充と金融資産の収益化を挙げています。具体的には、延長保証やGAP(残価補償)などの付帯商品や、Root社との保険提携を通じた自動車保険の統合提供を強化し、ウェブサイトの改善で購買導線を目立たせる計画です。ファイナンス面では自社が起点となって組成したローンをまとめて売却する証券化などを継続し、複数の金融パートナーを拡大する方針で、アライ社とのマスターパーチェス契約では2024年に約30億ドルのローン売却実績があり、同契約では最大40億ドルの買い付け枠が設定されています。さらに、仕入れや価格付けはアルゴリズムで需要予測や「見ずに車の価値を推定する」手法を改良し、価格テストを繰り返してマージンを高める施策を進めています。
新市場開拓と事業拡大については、流通インフラと在庫プールの拡大を通じてより多くの米国消費者にリーチすることを目指しています。2022年のADESA買収(約22億ドル)で物理オークション56拠点を取得し、2024年末時点で国内人口の約75%が主要在庫拠点から100マイル以内にあると推定しており、これにより配送時間短縮と選択肢拡大を図っています。同社は小売・卸売双方の取扱台数を増やすことで市場シェアを高め、ATMや証券化等による資金調達で新市場投入や施設・物流の投資を継続する計画です。ただし、追加資本の調達や債務制約の存在が戦略遂行の前提になる点は投資家が注意すべきリスクです。
技術革新への取り組みは同社の差別化の中核です。購入・仕入れのアルゴリズム、写真・商品情報の自動化、在庫移動を最適化する「ハブ&スポーク」型の自社物流、配送の正確な予測など、データ駆動の改善を全工程で進めています。サイト上でのユーザー体験向上や価格最適化のための継続的なA/Bテスト、またローンの組成・売却プロセスの標準化による資金効率化も具体的な施策です。購入後のサポートでも7日間の返品制度やカスタマーアドボケイトを整備し、これまでに21万件超のアンケートで平均4.7/5.0の評価を得るなど、技術とオペレーションを組み合わせて顧客満足と収益性の両立を図っています。